〔病院情報〕
高次脳機能障害支援普及事業
「平成21年度第2回支援コーディネーター
全国会議」等の開催について
医事管理課


 さる平成22年2月25日(木)から26日(金)にかけて、三田共用会議所において、高次脳機能障害支援普及事業「平成21年度第2回支援コーディネーター全国会議」、「平成21年度第2回高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会」及び「公開シンポジウム」が開催されましたのでご報告いたします。
 「支援コーディネーター全国会議」は、支援拠点機関等の支援コーディネーターの職務の向上と情報交換を通じて支援施策の均てん化を図ることを目的に、本年度より開催されています。今回で2回目の開催となり、厚生労働省及び当センターから主催者側として5名、学識経験者4名、そして支援拠点機関等から支援コーディネーターとして、前回よりも10名多い71名の方が参加されました(合計80名)。
 今回の会議も、午前午後の2部構成といたしましたが、前回の会議で支援コーディネーターから「他県の支援コーディネーターともっと情報交換できる時間を作って欲しい」との要望があり、午前の部は、支援拠点機関の「支援困難事例の紹介」を行いました。
 急性期に意識障害がない場合の自賠責後遺障害認定の困難事例、借金を繰り返す高次脳機能障害者の支援困難事例、就労支援において行動障害が顕著化した失敗事例の紹介をいただき、改めて高次脳機能障害者の支援の困難さを共通認識として持つことができました。
 午後の部は、「高次脳機能障害と社会制度」「相談記録(様式・管理)状況について」「相談者データの管理項目と方法」の紹介を行いました。特に「高次脳機能障害と社会制度」については、医療費負担軽減・自動車保険・労災保険・公的年金・雇用保険・障害者福祉サービス・介護保険・成年後見制度等、多岐にわたる社会制度の実例紹介をいただき、支援コーディネーター業務に大いに参考となったと思います。
 最後に、「新しい取り組みの紹介」を行いました。支援拠点機関が独自に工夫して行っている高次脳機能障害者に対する支援について参加者に知っていただくことも、支援コーディネーターの資質向上に役立つものと思います。
 前日の支援コーディネーター全国会議に引き続き、「平成21年度第2回高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会」及び「公開シンポジウム」が開催されました。
 「高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会」は、高次脳機能障害者に対する訓練方法及び社会復帰支援方法等の検証と事業の実施状況の分析、普及啓発方法等についての協議検討を目的に、支援普及事業開始時の平成18年度から開催されています。
 今回は出席者の利便性を考慮して支援コーディネーター全国会議と2日連続の開催といたしました。その効果もあってか、全国連絡協議会・公開シンポジウムを合わせ、145名(厚生労働省及び当センターから主催者側として9名、学識経験者14名、そして都道府県より109名、一般傍聴13名)の参加があり、昨年と比べて27名増加となりました。
 午前は、全国連絡協議会が行われ、当センター、北海道、東北、関東甲信越、東京、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州沖縄、千葉県、岡山県の13ブロックから平成21年度実施状況の報告を行いました。報告の中で、平成22年度には、全47都道府県において、高次脳機能障害支援拠点機関が設置される見通しであることが報告されました。
 午後は、公開シンポジウムが行われ、「大阪府における支援ネットワークの構築について」「高次脳機能障害に対するクリニックの実践−認知リハビリ(グループ療法)から就労まで」「当事者の家族の立場から」を演題に公開シンポジウムが行われました。
 「大阪府における支援ネットワークの構築について」では、大阪府障がい者自立相談支援センター栗村由喜恵氏から、大阪府における拠点体制、高次脳機能障害者の状況、ニーズ・資源等の調査報告を交えながら、支援ネットワークの発達過程及び向後についてお話しをいただきました。地域ネットワーク構築のために奔走される支援コーディネーターに対し、頭が下がる思いでした。
 「高次脳機能障害に対するクリニックの実践−認知リハビリ(グループ療法)から就労まで」では、高槻市・やまぐちクリニック院長山口研一郎氏から、クリニックにおける「認知リハビリテーション」並びに「グループ療法の課題」等の実践・経過についてお話しをいただきました。「大規模病院では、こうはできないだろう」というような、地域密着型の支援に感心いたしました。
 「当事者の家族の立場から」では、日本脳外傷友の会理事長東川悦子氏から、高次脳機能障害者の生活実態調査と支援拠点機関の利用状況調査についてお話をいただきました。当事者から見た高次脳機能障害支援事業の評価では、「ソーシャルワーク的な支援については改善を見ているが、それに接続する具体的な訓練や生活・職業的支援の体制は既存の取り組みはあっても、支援事業を通じて構築されるにはさらに時間が必要となる。」という結果が示され、支援普及事業の拠点センターとしてどのように事業を推進していくか、今後の参考になるものと思います。
 当日は、羽田空港の濃霧による航空機発着の乱れもあった中、多数のご参加いただき、誠にありがとうございました。



 
(写真)会議の様子