〔病院情報〕
病院紹介シリーズ22「歯科」
 


 歯科は当センター病院に入院中の方、自立支援局をご利用の方、障害をお持ちでセンター外からの方を中心に診療を行っています。平成21年度の延べ患者数は2088人でした。内訳は入院中の方30%、自立支援局ご利用の方13%、センター外からの方57%でした。都道府県別では埼玉県53%、東京都34%、千葉県5%でした。また埼玉県の方の約41%は所沢市民でした。主訴は歯周病31%、虫歯28%、歯の喪失22%でした。基礎疾患別にみると脳血管障害が37%、脊髄損傷が32%、外傷性脳損傷が7%でした。平均年齢は52.1才、男性76%、女性24%でした。
 歯科のスタッフは現在常勤歯科医師1名、非常勤歯科医師1名(毎週水曜日)、常勤歯科衛生士1名、非常勤歯科衛生士1名(週4日)で診療に対応しています。
 歯科診療室は病院新館西側奥、精神科の向かい側に位置しています。診療台は車椅子専用診療台2台、一般型診療台2台の計4台あり、外の景色が見えるよう窓に向かって配備されています。
 今回は歯科の設備を中心に御紹介します。平成4年から17年間使用していた一般型診療台が老朽化のため使用不能になり、新しい診療台を一台導入しました。新しい一般型診療台は高齢者や障害者に配慮した機能を持っています。診療台は大きく分けると患者さんが乗るチェアー部分と歯を削ったり歯石をとったりする機械を装備したカート部分になります。新しい歯科診療台のチェアー部分は水平方向に180度回転し、色々な方向から乗り降りすることができます。移動の際に、チェアー前面にバーがあり、これを利用して安全に移動することが可能になりました(写真1)。このバーは位置を変えることができます。特に車椅子からの移乗が楽になりました。また診療中に口をゆすぐ場合、スピットン(洗口のための受け皿)が顔の正面に移動します(写真2)。今までの診療台ではスピットンが椅子の横側に固定されていたので、体をななめにする必要がありました。クッションは非常に快適な硬さになり、長時間の診療にも対応できるようになっています。カート部分では感染や衛生面での配慮がほどこされています。多くの部品が患者さん、ひとりひとりに対し交換できるようになっています。また多くの安全スイッチが装備され、危険時に対応しています。
 以前ご紹介した車椅子専用診療台は頚髄損傷等、トランスファーの困難な方に使用しています。この診療台は移乗することなく車椅子に乗車した状態(後方に約30度傾斜可能)で診療が受けられます。さらにストレッチャーに乗車した状態でも診療が可能です。当歯科では約45%の方がこの診療台を利用されています。
 またパノラマエックス線装置も車椅子に乗車した状態で撮影が可能です。レントゲンはデジタル化され、診療台に装着されたモニターを利用して症状や治療の説明を受けることが出来ます。
 今回、歯科の設備を中心にご紹介しましたが、優れた新しい医療機器の使用は障害者や高齢者の方が多く受診する当歯科にとって、治療の安全性、治療の質、サービスの向上に役立っていると考えます。現在使用している機器は一番古い物で昭和64年から使用している診療台もあります。今後、機能や安全性に優れた機器に更新し、設備の充実を図り安全性やサービスの向上に努めたいと思います。


新しい歯科診療台(写真1)
(写真1)
 
新しい歯科診療台(写真2)
(写真2)