〔病院情報〕
健康増進・スポーツ専門外来の開設
病院第一診療部長  飛松 好子


 健康増進センターの開設に伴い、センター病院では7月に健康増進・スポーツ外来を開設いたしました。
 対象は、健康を増進したいという患者さんと、スポーツ活動をしたいという患者さんです。
 健康の維持と増進には、身体を動かすことが大事です。これは誰もが認めるところなのですが、障害のある方はなかなかそういうわけにもいきません。これまで、市町村の健康教室や、フィットネスクラブの利用を勧めてきたのですが、設備の問題やメニューの問題などで、なかなか通うのが難しいようでした。また、一人一人の状態の把握や検査などもそのようなところでは不十分になりがちです。 また、外来の患者さんで問題は肥満です。生活習慣病の範疇に含まれる患者さんも少なくありません。どうしたら生活習慣病を改善させることができるかはセンターの大きな課題の一つです。自立支援局に入所する方々に対して生活習慣病予防プログラムをここ2年ほど行ってきています。いくつかの問題がまだあります。一つは障害者にとって生活習慣病の診断基準は何か、という点とどのような運動プログラムが適切か、という点です。これらは健康増進センターの課題でもあるのですが、外来の患者さんの健康増進プログラムを通じてこのような点を考えていこうというのもこの外来の目的です。現在、研究所運動機能系障害研究部緒方徹部長、飛松好子が外来を担当し、その他栄養科、看護師、体育館が関わっています。
 もう一つの課題としてスポーツがあります。これは、飛松が、古くから障害者スポーツに関わってきたこともあり、外来にぽつぽつと選手やそのOBがやってきます。また、体育館では、クアドラグビーの全日本監督を運動療法士の岩淵さんが勤め、また毎週水曜日には車いすバスケットチームがやってきて練習をしています。このように体育館を中心としてセンターは障害者スポーツに関わってきたのですが、けがや故障、適切なトレーニング、海外遠征の際の医学チェックや個人的相談などの窓口が必要です。またスポーツは健康も増進しますし、生活も豊かにします。そのような障害者のニーズに応えたいとしてできたのがこの外来です。障害者スポーツの世界もドーピングコントロールが行われる時代です。当院の薬剤科には、ドーピングについて研修を受けている薬剤師がいます。あちこち探していくといろいろな人材がいることがわかりました。このようにスタッフの間でも輪が拡がりつつあります。
 まだできたてでいろいろ整えねばならない問題はありますが、ぼちぼち患者さんもやってくるようになり、少しずつ定着しつつあります。今後が楽しみです。