〔国際協力情報〕
第1回医療機器の世界フォーラムに参加して
研究所福祉機器開発部 高齢障害者福祉機器研究室長 廣瀬 秀行


 WHO主催で第1回医療機器の世界フォーラム(First Global Forum on Medical Devices) がバンコックで9月9日から11日に開催された。この会議は発展途上国または低収入地域の健康管理には医療機器が大きな役割を果たすが、現時点で十分な役割を果たしていない。今まで医療援助は行われてきたが、10%程度しか使用されていなく、その理由として管理不十分であり、さらに電源の確保が困難で使用できず、また医療技術の進歩にも追従していないなどの問題が起きていた。そこで、それらを解決する道を探ることが大きな目的となっている。特に、発展途上国での医学的問題点は、マラリア、結核、そして出産であり、それらの医療援助が重要視された。よって、障害者への対応は現時点で将来の課題であり、議論になる土壌ではなかった。また、欧米では医療機器と福祉機器は同じ医療機器に入るが、日本では福祉機器は法律で対象外になっている。それらを含めて、理解困難な用語や概念が続出し、最後まで苦しんだ会議でした。しかし、その概念構成は明らかに、福祉機器の構成概念を超え、参考になるものばかりであった。
 内容としては、タイのAbhisit Vejjajiva(アピシット・ウェーチャチーワ)首相(写真1)やパンデミックで有名になったWHOの事務総長Dr Margaret Chan(マーガレット・チャン)(写真2)の「Medical devices: an area of great promise」のYou represent a diversity of disciplines, interests, and country experiences. This diversity is important given the complexity of the task before us.(あなた方は国での経験や専門、研究分野など多様性を代表している。この多様性は我々の前にある仕事の複雑さにおいて重要である)(詳細はwww.who.int/dg/speeches/2010/med_device_20100909/en/index.html)から始まった。内容は途上国向け医療機器の開発、管理、法律、倫理、技術評価、財源など関連する分野の話題を取り上げ、最終的な今後の行動指針に結び付けていた。例えば、電源が十分でない場合が多く、太陽パネルを使用したエネルギー供給や手術室が全面窓になっているなどなどインフラを考慮した対応やEBMや価格価値を配慮し、また基礎の機器開発研究のサポートの仕方なども検討された。
 特に、今回の会議は参加者に電子手帳(写真3)が渡され、これはフォーラムのプログラムが入り、他に、参加者の位置情報、名刺交換、資料獲得、そして投票に大活躍した。特に、重要なテーマについて今後の進め方を決めるところでは、専門家が話題提供をし、それらに基づいてフロアーから意見特に推奨をもとめ、それらが表となって整理され、それを電子手帳でフロアーにいる我々が投票し、上位を決定していく手法であった。リアルタイムにすべてを決定できるシステムと同時に、運営のすごさを知った。
 また、宇宙技術の可能性で講演された宇宙飛行士の向井千秋さんと色々と話すことができよい機会を得ました。


 
写真1 アピシット・ウェーチャチーワ首相の講演   写真2 マーガレット・チャン事務局長の講演
写真1 Abhisit Vejjajiva首相の講演   写真2 Dr Mrgaret Chanの講演
     
写真3 渡された電子手帳    
写真3 渡された電子手帳