〔自立支援局情報〕
盲ろう者宿泊型生活訓練等モデル事業がはじまりました
自立支援局 自立訓練部

 平成22年10月1日から、盲ろう者を対象に、常時通訳介助者等を配置した自立訓練と宿泊支援を中心に提供する、モデル事業を本格的に開始しました。この事業は、当センターの自立支援局、病院、研究所、学院、そして全国盲ろう者協会で構成する実施委員会が実施主体となって運営しています。4月から、生活支援、訓練、支援プログラム等の支援部会を設け、10月の支援開始をめざして準備を進めてきました。6ヶ月という短い準備期間でよく間に合ったと冷や汗をかくほど、色々なことがありました。モデルハウスは、建築して以来浴槽のお湯が出ないことに端を発し、住環境を整えるため、配管、内装、配線など次々と工事が必要になり、センター各部署の皆さんに大変お世話になりました。うっそうと茂る草におおわれたモデルハウスの中で、無数のヤブ蚊に襲われながら片付けと改修作業を続け、9月下旬にようやく住居らしい状態にまとまりました。
 その間、全国盲ろう者協会が通訳介助者の公募を行い、通訳介助員の応募数は80人を越え、通訳介助者のコーディネーターから嬉しい悲鳴があがりました。4人の利用者に対し、1日あたり3交替4シフトの通訳支援体制を組みますが、コーディネーターが毎月120回分のシフトを考えるのは大変な作業です。生活支援のコーディネーターは、このほかに、毎週末・休日のレクリエーションも企画します。10月の企画は、秋らしく銀杏拾いに始まり、スポーツの練習、都内への外出支援、買い物など、多様な余暇活動を提供していますが、これもまた、支援内容がマンネリ化しないように1年間アイデアを出し続けるのが大変です。
 モデル事業の利用については、北海道から九州まで全国各地の盲ろう者から定員を超える応募があり、各応募者に事前の訪問面接を通じて簡易的なアセスメントを行い、訓練目的や訓練に必要な期間・時期などが事業と合致する9名の方を内定しました。年齢、性別、訓練の目標、主なコミュニケーション手段などがそれぞれ異なる方の利用を通じて、多様性のある盲ろう者支援に取り組む格好の機会を設けることができました。
 10月から、モデルハウスには明りが灯り、いつも手話や笑い声に満ちてにぎやかです。これから1年間、どのような出来事が待っているのか楽しみな毎日が始まりました。今後、訓練支援の進捗など、機会がありましたら、新たなご報告をいたします。


(写真)触手話で盲ろう者同士の会話もはずみます   (写真)柔道の試合進行も通訳者のおかげでよくわかります
触手話で盲ろう者同士の会話もはずみます   柔道の試合進行も通訳者のおかげでよくわかります