〔研究所情報〕
第37回国際福祉機器展(HCR2010)への
研究所の出展報告
研究所 義肢装具技術研究部 三ツ本 敦子



 2010年9月29日(水曜日)から10月1日(金曜日)の3日間、東京ビックサイト(有明)にて第37回国際福祉機器展(HCR2010)が開催されました。来場者は一般の方はもちろんのこと、福祉・介護・医療の従事者、研究者、メーカーの方など幅広い職種にわたり、3日間で119,451名を数えました。
 今年度の国立障害者リハビリテーションセンター研究所のテーマは「記憶・見当識障害を補う支援機器 ―認知症のある人の生活自立に向けて―」で、福祉機器開発部や障害工学研究部より複数の支援機器を展示しました。アラーム付き薬入れ、電子カレンダー、探し物発見機、携帯電話アプリケーションなど生活に身近なツールが紹介され、来場者は実際に手に取って説明を受けていました。特に注目を浴びていたのは、情報支援パートナーロボットと自動ブレーキ付き車いすでした。認知症の方とコミュニケーションをとることができる情報支援パートナーロボットは老若男女問わず「お話したい」とあっという間に人だかりができました。自動ブレーキ付き車いすに関しては、「現場で最も危険で発生率の高いブレーキのかけ忘れが防止できる」「シンプルな機構だけど、本当に必要とされている機能だ」とのご好評をいただきました。
 また、サブ・ブースでは脳機能系障害研究部による「脳波による生活環境制御」と義肢装具技術研究部による「ニーズに合わせた義手・義足」のビデオが紹介されました。 多くの方が足を止めて「脳波で動くってどういう仕組みなの?」「義足の支給について教えてほしい」などのご質問が寄せられました。
 大きなホール会場の入口正面にブースが配置がされたこともあり、開催期間中は人の波が絶えないほど多くの方に立ち寄っていただきました。用意していたパンフレットも好評で、3373部も配布することができました。
 その他にも特別枠のワークショッププログラムとして、福祉機器開発部が「座位保持装置・車いすの基礎講座―強度と規格―」と題して講演を行い、特別企画の福祉機器開発最前線のセッションでは、脳機能系障害研究部による「ブレインインターフェースを用いた生活環境制御システム」と福祉機器開発部による「透明文字盤に文字保存機能を付加した意思伝達システム」が発表されました。どちらのセッションも、席がすぐに埋まってしまい、熱心にメモを取っている参加者も多かったのが印象に残っています。
 3日間という短い開催期間でしたが、研究所ブースの中で多くの福祉機器のユーザー(またはご家族や支援者の方々)の率直なフィードバックがあり、研究者にとってはモチベーションが高められた機会だったと思います。このような展示会を通して情報交換を行うことで、研究者・医療従事者にとっても、福祉機器の利用者にとってもお互いに有意義な時間を過ごせることに改めて気づかされました。
 最後に今回の出展に関して御尽力をいただきました皆さま、ご参加いただきました方々に御礼申し上げます。


(写真)にぎわう研究所ブース   (写真)特別企画でのプレゼンテーションの様子
にぎわう研究所ブース   特別企画でのプレゼンテーションの様子
     
(写真)展示された支援機器    
展示された支援機器