〔自立支援局情報〕
インドネシアからの
介護福祉士候補者を受け入れて
別府重度障害者センター


 インドネシア人介護福祉士候補者のイマス ヌルハヤティさんとニアラフリアニさんがセンターに勤務されて、1年が過ぎました。二人がセンターへやってきたのは平成22年1月中旬、真冬の一番寒い時期で、職員が日本での研修滞在先である静岡県にある中小企業レクリェーションセンター富士箱根ランドまで迎えに行きました。
 二人は平成21年7月13日から11月12日まではインドネシアで日本語や日本について学び、11月13日から翌年の1月15日まで日本国内で日本語の研修を受けていたのです。
 到着後早速、職員宿舎へ入居してもらったのですが寒い最中、宿舎のエアコンが故障していて、電気店に見てもらったところ室外機の故障で修理不能とのこと。慌てて石油ファンヒーターを置いたのですが臭いが臭いのか使ってもらえず、電気温風器を持ち込んで何とかしのいでもらったのですが出だしからつまずきました。
 二人は日本とインドネシアとの経済連携協定(EPA)に基づきやってきたのですが、経済連携協定とは、2つ以上の国の間で品物やサービスの自由化など自由貿易協定に加えて貿易以外の人の移動や投資、政府調達などの分野を含めて締結される包括的な協定であり、日本とインドネシアとは平成19年8月に協定が結ばれました。
 介護福祉士候補者の受け入れは厚生労働省本省からの依頼によるものです。これまでセンターでは外国からの研修生は受け入れたことがありません。言葉の問題もありますが何よりも利用者が受け入れてくれるかという心配がありました。しかし、国の施策としてインドネシアからの候補者を受け入れていることから国の施設である当センターとしても受け入れることは必要だ、との考えから受け入れを承諾しました。
 とはいえ、十分な受け入れ体制を整えるためには本省からの支援が必要であり、インドネシアに関する情報(国民性、禁忌事項など)の入手や日本語研修のための講師の確保、養成施設など外部機関での学習のための費用の確保、非常勤職員として賃金を払いながら研修を受けさせることについて会計法上の問題はないか、など解決すべき問題が多々ありました。それらの問題を全て解決した上で今回の受け入れとなったのですが、受け入れが決まった後も受け入れ体制の確保に気を配りました。窓口は庶務課長、研修責任者は介護員長、研修担当者は介護員、日本語研修のために外部講師の雇い上げなどです。また、職員には受け入れに伴う留意事項を文書にして配りました。
 二人はイスラム教徒のため食事制限があります。また1日5回の礼拝、ラマダン月時の勤務への配慮などもです。勤務は月、金は一日介護業務、火〜木は午前は介護業務、午後は日本語学習としました。
 また、介護業務での指導の内容も22年度の目標は清拭、衣服の着脱、乗降車介助、浴場での衣服着脱や昼食時の食事配膳、自助具のセットなどで基本的な介護技術を習得できるように指導しました。
 イマスさんとアラさんが当センターへやってきて1年、昨年12月に受けた日本語能力試験は、イマスさんはN3レベル(旧試験の2級と3級の間)、アラさんはN4レベル(旧試験の3級レベル)に見事に合格しました。しかし、二人がめざす国家試験に合格するためには、少なくとも旧試験で2級レベルの日本語能力が必要とされており、さらなる日本語の勉強が必要で、また、国家試験へ向けての学習も必要となります。そういった中でも、毎日、笑顔で二人は日本での介護福祉士国家資格の取得を目指し懸命に奮闘しています。
 これからは介護の戦力として頑張ってもらいたいし2年後には二人そろって介護福祉士の資格を取ってもらいたいと思っています。



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