〔平成23年度運営方針(重点事項)② 部門間連携事業〕
高次脳機能障害支援普及事業及び関連事業について
 


1.概要

 高次脳機能障害をもつ方への支援を一般事業化して、全国で展開するために、厚生労働省は平成18年度から高次脳機能障害支援普及事業を開始しました。この事業は障害者自立支援法に基く地域生活支援事業の一部を構成し、高次脳機能障害者に向けた適切な支援を地域ごとに提供する体制の整備を意図しています。そのため各都道府県に支援拠点機関を置き、そこに支援コーディネーターを配置することで、地域支援ネットワークを構築します。支援拠点機関は専門的な相談支援の窓口をもち、地域支援ネットワークを構成する関係諸機関を通じて当該障害者に医療から福祉までの連続したケアを提供します。このような仕組みが平成22年度をもって、すべての都道府県にでき上がりました。

 国立障害者リハビリテーションセンター(以下国リハ)は以上のような高次脳機能障害支援普及事業に参画し、全国高次脳機能障害支援普及拠点センターとして、全都道府県の支援拠点機関と連携し、協議を重ねながら高次脳機能障害者の支援に必要な事業展開を実施しているところです。年2回の支援拠点機関等連絡協議会、支援コーディネーター全国会議等の開催、研修事業を含む普及啓発活動を行うとともに、高次脳機能障害に係る各種行政施策について意義ある助言をなしているところです。


2.平成23年度事業計画

 国リハは、全国47都道府県に高次脳機能障害支援拠点機関を設置することに主体的に取り組み、これを達成したところですが、それぞれの地域での運用が、まだ開始したばかりであるといった事情により十分でない自治体もあります。そこで国リハは全国高次脳機能障害支援普及拠点センターとして、連絡協議会等を通じて支援サービス提供・利用の全国的な均てん化を図るところです。その他研修等の実施により、それぞれの地域での人材育成を図ることとしています。加えて画像診断により器質的病変を見出すことのできない症例の扱いや小児期に脳の損傷を負った症例への支援など、現今解決を迫られている課題についても、解決に向けて主体的に取り組んで行きます。

 また、23年度の特筆事項として、国リハに高次脳機能障害情報・支援センターが設置されることになりました。これは当事者のみならず、関係諸機関からも強い要望のあった事業であり、この運用により支援に係る情報を全国へ提供することになります。当センターにはすでに発達障害情報センターがあり、その活躍はつとに知られるところですが、同様に高次脳機能障害においても情報・支援センターが活動することで、この方面での国民の生活向上に資することが期待されています。これまで通り広く職員の皆様方のご協力を願う次第です。