〔自立支援局情報〕
あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師への扉をひらく
―第32回理療教育入所式―
理療教育・就労支援部 理療教育課 伊藤 和之


 「どちらからですか」「岩手です」「よくおいでになりました。たいへんでしたね」― これからバスで地元に戻られるという御家族との会話です。

 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師(あはき師)への新たな道に散り敷くソメイヨシノと満開の八重桜が出迎える中、31名の方々が入所式に臨みました。平成23年4月20日、予定日から2週間遅れの挙行です。本館大会議室で行う恒例の式典が、この日ばかりは特別に感じられました。

 江藤総長が式辞の壇に立ちました。

 「あはきの業は江戸期に普及し、明治初期などに断絶の危機に遭いながらも、現代に普及し続けており、国家試験合格が必要な医療職の分野に位置づけられています。

 皆さんには、この業が、痛みなど身体症状を取り、人を癒す一方で、人体を傷つける可能性もあることを早い段階で理解してほしい。そして、3年、5年の課程を経て、本日の志を実現させていただきたいと願うところです。

 また、センター生活そのものを愉しまれるとともに、御自身の健康管理の方策を持って下さい」

 御家族、各自治体の福祉関係者の皆様のこれまでの御労苦に敬意を表し、引き続きの御支援をお願いし、式辞は結ばれました。

 その後、幹部職員の自己紹介がなされ、式は終了しました。

 昨年度実施の第19回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師国家試験の結果は、卒業生、修了生、当センターにとって厳しいものでした。

 中途視覚障害者の就労の中心は、今なお、あはき師です。しかし、入所は即資格取得を保証せず、資格取得が即社会復帰を意味しないことを、私たち職員は全学年90名の在籍者とともに再認識し、日々の学習や訓練に取り組まねばなりません。

 理療教育は、障害者自立支援法上「就労移行支援(養成施設)」に位置づけられ、「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」の下、人文科学概論や自然科学概論などの基礎分野、解剖学や生理学などの専門基礎分野、経絡経穴概論や東洋医学臨床論などの専門分野からカリキュラムが構成されています。専門分野には、あん摩、マッサージ、指圧、鍼、灸の各実技科目と臨床実習も含まれます。 在籍される方々は、所定の単位を取得して国家試験受験資格を得ることとなります。

 私たち教官は、自立訓練、理療教育、あはき就労という視覚障害リハビリテーションモデルを次世代につなげられるよう、ケースワーカーと連携して、新入所の皆さんの支援にあたる所存です。

 今年も、新入生の未来を見守るように、歴代の卒業生が残されたハナミズキの花が開き始めました。

新1年生の皆さんと江藤総長の式辞   学級担任と担当ケースワーカー
新1年生の皆さんと江藤総長の式辞   学級担任と担当ケースワーカー