〔病院情報〕
病院紹介シリーズ「3階病棟」
〜フィッシュ哲学の「活き活き標語」で
明るい職場づくり〜
 


 「フィッシュ哲学」という言葉をご存知でしょうか。シアトルの魚市場で働いている人たちが楽しんで働くことで、市場に買い物に来た人も活気に満ちあふれるという魚市場をヒントに生まれたのが「フィッシュ哲学」です。

 看護界で急速に広まりました。当院の看護部も看護師が元気に働くことで、患者さんにも元気になって頂きたいという考えから、平成20年度に副看護師長が中心となり取り組みを開始しました。

 3階病棟は継続してできる企画が良いという意見をもとに、アイデアを募りました。その結果、看護師が当番を決めその月の担当者が作成した標語を、毎朝の申し送りの後に読み上げるという取り組みを始め、早いもので3年目を迎えました。

 標語は作成する看護師によって様々で、個性がキラリと光っています。

 昨年度の標語をご紹介致します。

4月 ありがとう 優しい気持ちに 笑顔咲く
5月 広げよう ひとりひとりの 思いやり
6月 ありがとう 感謝の言葉が チームを育てる
7月 目を合わせ かわす挨拶 自分から
8月 届けよう 電話の向こうに あなたの笑顔
9月 ありがとう, Thank you, 謝謝, カムサハムニダー, 世界に広げよう ありがとうの輪!! みなさんで(ワ!!)
10月 何気なく 交わす言葉に 笑みこぼれ
11月 忙しい時こそ 「ハイ」深呼吸
12月 ツンとすました美人より ふっくら笑顔で ご挨拶
1月 挨拶は コミュニケーションの第1歩
2月 ほっとする あなたの笑顔と 優しい気遣い
3月 よく聴いて それから話そう 思いやりの言葉

 

 いかがでしょうか?ユニークだったり、なるほどと感心したり、1人1人の個性が光っています。その中でも9月の標語は昨年度の中で断トツのヒット賞でした。その当時の3階病棟は国際色豊かで、作成した看護師は日本語が全く通じない中国の方や、フィリピンの方を受け持っていました。看護師達は患者の国の言葉で挨拶をしました。1月の標語にもありますが、どの国でも挨拶はコミュニケーションの第1歩です。中国やフィリピンの患者さんも母国語で話しかけられた時は笑顔を見せて下さいました。きっと嬉しかったに違いありません。

 ただ文化の違いを感じることもありました。些細なことをお伝えするにも、日本の患者さんと比べると、何倍ものやりとりを重ねる必要がありました。受け持ち看護師はさぞ大変だったろうと思います。一方、患者さんの立場からも同様だったと思います。

 食文化では、中国は冷たい牛乳を飲まない習慣があるようです。牛乳を指差して何か伝えようとするのですが、嫌いなのか飲みたくないのかがわかりませんでした。日本語のわかるご家族が中に入ってようやく話しの内容が通じ、牛乳が嫌いではないことがわかり、その後冷たい牛乳を飲んで下さるようになりました。

 いろいろな事はありましたが、言葉はわからなくても笑顔やジェスチャーで接することで、安心して入院生活を送って欲しいという看護師の気持ちをお伝えすることはできたと思いました。笑顔は世界共通です。そこで今年度は「優しさと 笑顔あふれる 3階病棟」という標語でスタートしました。

 皆さまの部署でも試してみてはいかがですか?あなたのそばにいる職員の思わぬ一面が発見できるかもしれません。



(写真)標語の発表風景   (写真)ありがとう, Thank you, 謝謝, カムサハムニダー, 世界に広げよう ありがとうの輪!! みなさんで(ワ!!)
標語の発表風景   9月の標語ポスター