〔研究所情報〕
第38回国際福祉機器展H.C.R2011に
おける研究所の展示について
研究所 運動機能系障害研究部 緒方 徹


 今年の国際福祉機器展は昨年と同様に有明の東京ビッグサイト展示ホールにて10月5―7日の日程で開催されます。この展示会は福祉機器の展示会としては国内最大規模のものであり、昨年度ものべ10万人を超える多くの来場者を記録しています。来場者の中にはこの分野での開発販売を手掛ける企業や研究者のほか、障害をもった当事者やその支援に係る人々も含まれており、この分野の総合的な情報交換がなされる場としても位置付けられるものです。
 本年度の国リハからの出展はテーマを「技術と人をつなぐ」として、研究所を中心に幅広い分野からの出展を予定しています。研究から障害者の現場までをひとつの組織内にもつ国リハにとって、基礎研究を応用につなげ障害の問題解決に貢献することは恒久的な課題であり、今回のテーマはその課題とミッションを表現したものです。当センターの多くの部署で日々共有されている課題をテーマに挙げながら、福祉機器・リハビリテーションの領域での国リハの活動を幅広く紹介することを目指します。
 主な出展予定としては、昨年も展示され大きな反響を呼んだ高齢者、物忘れのある人に対する情報支援ロボットの展示、そして上肢切断者に対する筋電義手のデモンストレーションを予定しています。その他に、視覚・聴覚の障害に対する支援機器開発の紹介、さらに実際の視覚・聴覚重複障害者(盲ろう者)支援モデル事業として国リハで実施されているプログラムを紹介することで、支援機器開発から実生活支援までを網羅した国リハのアプローチを紹介します。
 感覚・認知機能の障害の他に、体の動きの障害に対するアプローチとして、脳からの信号を読み取って機器を操作する技術であるブレイン?マシーン・インターフェイスの概要と、先端リハビリ機器を用いた歩行訓練の紹介も予定しています。その他、障害者の社会参加を支援する研究として遠隔教育による就労トレーニングシステムや発達障害情報センターの活動を紹介は実際にパソコンの端末で操作できる状態で来場者に体験してもらいます。
 現在、国リハではその特性を生かした部門間連携、あるいはセンター外の機関との連携研究が推進されています。こうした試みは「技術と人」に留まらず、「技術と技術」、「人と人」をつなぐことでもあり、単一の技術だけでは対処しにくい障害者の課題解決には欠かせないことです。本年度、国リハ敷地内にそうした内外の共同研究を推進することを目的の一つとして障害者ライフモデルルーム(仮称)の建設が予定されており、その概要も紹介する予定です。
 こうして国リハの様々な研究活動と、また今後国リハが外部機関とどのように共同で計画を進めていけるかを国際的な展示会で示すことにより、障害・福祉・リハビリの分野において、国リハが技術と人をつなぐ役割を担っていくことを発信する機会にしたいと考えています。