〔特集①〕
障害者ライフモデルルームのご紹介
障害工学研究部 小野栄一


 国立障害者リハビリテーションセンター(以下、「国リハ」と記す。)では、支援機器などの体験を含め、様々な情報発信や情報交流などができる場の1つとして、「障害者ライフモデルルーム」を整備し、本年度より活用を開始することとなりました。様々な試行錯誤も含め、多くの皆様のご要望やご期待に添えるように、徐々に有効活用を進めていきたいと思います。
 施設の場所は、国リハ内にあります。現在、国リハは病院等整備工事中であり、計画では国リハの歩行者用正門(平成26年度予定)が研究所の近くに設置されます。その道路を挟んで研究所の前に施設が建てられました(図1)。将来、歩行者用正門を入ると左に研究所、右に本施設が、最初に目に入る建物になります。現在も道路から施設の外観の一部がご覧になれます。

図1:研究所の入り口より撮影(2012/6/20)
図1:研究所の入り口より撮影(2012年6月20日)


 施設は、多目的な利用を想定したスペース(約10m×11m)とバス・トイレで、手すりやスイッチなどの配置による違いを体験できるトイレおよびバスのフィッティングルーム、温湿度変化が調整できる部屋(温度は-10度から40度)を有しています。
 多目的な利用を想定したスペース(図2)は、電動車いすを走らせることも可能になっており、床面には、16箇所の電源コンセントが用意され、様々な機器のデモンストレーションなどに利用可能です。
 トイレフィッティングルーム(図3)では、便座を上下・左右に動かすことで部屋の中で便器の位置を調整したり、手すり・スイッチ・トイレットペーパーの高さや位置を調整することで利用しやすさを体験できます。バスフィッティングルーム(図4)では、浴槽や手すりなどの位置を変更できます。他に通常のバスユニット、トイレがあり、後からどのような工夫をしたら使い勝手がよくなるか、トイレ(図6)は便器の前方向に扉がある場合や、横方向に開き戸がある場合の使い勝手などを試せます。上下・左右に動く便器(図3)以外のトイレ、バスは排泄、入浴が可能です。

図2:多目的な利用を想定したスペース
図2:多目的な利用を想定したスペース

図3:トイレフィッテングルーム1   図3:トイレフィッテングルーム2
図3 トイレフィッテングルーム

図4:バスフィッテングルーム(浴槽は奧)(手前はトイレ)1   図4:バスフィッテングルーム(浴槽は奧)(手前はトイレ)2
図4:バスフィッテングルーム(浴槽は奧)(手前はトイレ)

図5:交換部品
図5:交換部品

図6:扉が便器の前、横にあるトイレ
図6:扉が便器の前、横にあるトイレ



 7月26日(木)〜28日(土)に施設紹介を行う予定です。
 あわせて支援機器などの展示・デモを行います。体験できるものもあります。国リハの研究で利用している機器や厚生労働省、経済産業省のプロジェクトに関わっている機器などをご紹介します。片流れ防止機能付電動車いす、肢体不自由者用ロボットアーム(iArm、JACO)、障害とファッションをテーマに装飾した車いす4種、ペルチェ素子付電動車いす、自動ブレーキ付車いす、トーキングエイド for iPad(注1)、触図筆ペン(注2)、ロボティックベッド、認知症者の生活支援ロボット、障害物回避先導ロボット、災害時用仮設車いす対応型トイレ、災害時用仮設オストメイト専用トイレなどを予定しており、一部調整中です。また認知症者の生活支援機器を展示しているモデルハウスも合わせて公開予定です。詳細は、国リハのホームページ(注3)をご覧下さい。
注1 トーキングエイド for iPadのデモ・体験は26日のみ
注2 触図筆ペンのデモ・体験は、27日、28日
注3 http://www.rehab.go.jp/