〔特集:③〕
医務班としての支援活動
病院看護部外来・入所者診療室 田嶋千秋


 ロンドン2012パラリンピック競技大会(第14回夏期大会)は、8月29日(水)〜9月9日(日)の期間、開催されました。160か国の国と地域から4,200人の選手が参加し熱戦が繰り広げられ、日本からは134名の選手が参加し、16個(金5、銀5、銅6)のメダルを獲得しました。
 今回、日本代表選手の健康管理を行い、円滑に競技できるようにアシストする医務班の一員である日本選手団本部役員(選手団帯同看護師)として参加する機会を得ましたので、その概要を報告致します。
【開催状況】
 日本代表選手団は、255名(役員121名を含む)参加し、競技は全20競技中、ゴールボール(女子)、ウィルチェアラグビー等を含む17競技に参加し、8月22日から参加競技の大会スケジュールにあわせて現地入り後、練習試合やトレーニングを行い試合に臨みました。
【日本選手団本部役員構成】
 日本選手団本部役員は、団長・副団長以下、医務班、トレーナー、栄養サポート、心理サポート(今回初めて導入)、総務で構成され、医務班は医師3名(内科1、整形外科1、リハビリ科1)、看護師3名でした。
【医務班の活動状況】
 医務班は、選手村の一室を医務室とし、本部、トレーナー室、栄養・心理サポート室と連携を取りながら対応しました。競技団体から健康チェックの報告を受け、医務室に来室した体調不良者や診察希望者の診療を行いました。選手からメールでの相談もあり、医師が対応しました。
【大会に参加して】
 行動規範として、挨拶の励行と常に笑顔で行動する(笑顔は脳の働きを高め、運動のパフォーマンスを上げる)と示されたとおり、笑顔で気持ちよく挨拶する選手たちでしたが、試合前の集中する姿は自分との戦いなのだということを感じ、また、自己管理能力のすばらしさにも感動しました。パラリンピックは、第二次世界大戦後、負傷し脊髄損傷となった兵士がストーク・マンデビル病院内に設置された脊髄損傷科で治療する中で、グットマン医師が、1948年ロンドンオリンピックにあわせてストーク・マンデビル病院内車いす患者によるアーチェリー大会を開催したことが原点です。今回、選手村のエバ・ルフラー村長はこのグッドマン医師の娘さんが努められ、障害者スポーツの普及が、継承されてきた歴史を感じることができました。
 パラリンピック発祥の地であるロンドンで開催された今大会に参加する機会を得たこと、今回の出張に際して、職員の皆さまや多くの方々から賜りました御厚情、御支援に対しまして心からに感謝申し上げます。
診察内容 内 科:発熱、咽頭痛・咳嗽等の 呼吸器症状、頭痛、不眠・不安・メンタル相談、口内炎、便秘、下痢、膀胱炎、脱水、高血圧など 整 形外科:関節痛、ガングリオン、切創、痙性、褥瘡、脱臼、捻挫など
主な処置 内 科:薬処方、点滴、指導(咳嗽・水分補給・食事・加湿など) 整形外科:薬処方、注 射、テーピング、指導(ストレッチ・運動など) 看 護援助:爪切り、更衣介助、入浴介助など
※診察延べ人数303人、1日平均15.2人