〔トピックス①〕
高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業「平成25年度第1回支援コーディネーター全国会議」及び「平成25年度第1回高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会」等の開催について
高次脳機能障害支援・情報センター

  高次脳機能障害の支援については、厚生労働省の施策として当センターが中心となり平成13年度から5年間、全国12地域におけるモデル事業を経た後、平成18年度からは事業化と普及活動を目的に「高次脳機能障害支援普及事業」として実施されてきました。それによりこれまでに設置された各都道府県の支援拠点機関は全国70箇所、配置された支援コーディネーターは120名近くになったところです。
 この会議等は、こういった支援コーディネーターの皆さんや、中央支援拠点機関としての当センターが各都道府県に2名ずつ委嘱している支援普及全国連絡協議会委員の皆さんなどが一堂に会し、全国10地域のブロック等を代表する学識経験者等からの発表を聞き討論し情報を共有することにより、事業の一層の推進と均てん化を図ることを目的に年2回開催されています。
 平成25年度からは、高次脳機能障害に併存することの多い音声・言語機能障害(失語症)などについても、現場では併せて対応している実情に鑑み、「高次脳機能障害支援普及事業」から「高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業」に名称が変更されました。
 今回は今年度第1回目として、6月25日(火)に「支援コーディネーター全国会議」、翌26日(水)に「高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会」が、当センター学院6階大研修室において開催されましたので、概要を報告いたします。
 初日の「支援コーディネーター全国会議」は、支援拠点機関の支援コーディネーターの職務の向上と情報交換を通じてサービス提供体制の均てん化を図ることを目的として開催されています。今回で9回目の開催となり、学識経験者2名、外部招聘講師2名、各都道府県からの支援コーディネーター等100名、当事者団体5名、その他オブザーバー3名並びに主催者側として厚生労働省及び当センターから6名、計118名の参加がありました。
 今回の会議も、例年どおり午前と午後の二部構成で行われ、まず午前の部では、「失語症のある高次脳機能障害者の支援について」の講演と各機関から「高次脳機能障害者の意思疎通への配慮・支援について」の実績報告がありました。
 「失語症のある高次脳機能障害者の支援について」の講演では、川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科の種村学科長が、失語症者の具体症例や社会生活上の問題点から具体的支援の方法について、様々な角度から話をされました。
 次に「高次脳機能障害者の意思疎通への配慮・支援について」の実績報告では、岡山県の川崎医科大学附属病院リハビリテーションセンター、福島県高次脳機能障がい支援室及び当センター企画・情報部高次脳機能障害情報・支援センターの三機関からそれぞれの取り組みについての報告がありました。
 午後の部では、当センター中島学院長から「高次脳機能障害支援普及事業」に「関連障害」が加わった経緯などの説明と今後の事業展開について話があった後、千葉県の障害者職業総合センター田谷特別研究員から「失語症のある高次脳機能障害者の就労支援について」の講演、引き続き当センター自立支援局自立訓練部から「失語症のある高次脳機能障害者の支援について」の実際の活動紹介がありました。
 最後にはグループ討論会・発表会が行われ、今回の会議のメインテーマとした「関連障害」としての失語症者への支援について深い考察が行われ、有意義な一日となりました。
 翌日には、「高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会」及び「高次脳機能障害者の社会参加支援の推進に関する研究」全体会議が開催されました。この「高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会」は、支援普及事業が開始された平成18年度から開催され、全国の事業の実施状況に関する情報収集、情報交換及び高次脳機能障者に対する支援手法等の向上を目的としております。今回は、厚生労働省及び当センターから厚労省委員として13名、全国10地域のブロック等を代表する研究分担者が学識経験者として13名、各都道府県から都道府県委員として130名及び当事者団体がオブザーバーとして5名、計161名の参加がありました。
 会議では始めに、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課福生補佐と当センター中村総長の挨拶があり、高次脳機能障害の施策の一環である支援普及事業の意義などについて話をされました。
 次に、全国10ブロック及び千葉県、岡山県、徳島県の研究分担者並びに当センターから、平成24年度の事業実施状況及び平成25年度の事業実施計画が報告された後、厚生労働省福生補佐から平成25年度の高次脳機能障害に関する運営方針などの説明がありました。
 この事業報告を聞いて、全国各自治体の高次脳機能障害に関する事業が画期的また精力的に実施されている現状が汲み取れ、この事業も随分成熟したものと感じられました。
 とはいえ、当センター飯島自立支援局長から閉会挨拶にあったとおり、各都道府県における地域格差、あるいは若年者の就学・就労の問題など、まだまだ沢山の検討すべき問題もあるため、引き続き本事業を推進していく必要があり、そのためにもご関係の皆様の御協力を賜りますようお願い申し上げ、報告といたします。
写真:全国会議の様子