〔特集〕
平成26年度運営方針
 

⑤高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業

 昨年度は、国リハセンター内各部門で関連する事業を推進しました。その事業の名称については、高次脳機能障害に併存することの多い音声・言語機能障害(失語症)なども、現場では併せて対応している実情に鑑み、「高次脳機能障害支援普及事業」から、「高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業」へと平成25年4月に変更されました。
 病院では専門外来の充実を図るとともに高次脳機能評価入院を継続し、自立支援局では自立訓練(生活訓練)において一層の事業推進を図るとともに実践を通じて評価・訓練を体系化しました。また、研究所では認知障害者向けの福祉機器開発を進める一方で、行政的課題解決にも対処し、学院では都道府県・指定都市の行政職及び関係職種の指導者向けの研修事業を実施しました。
 高次脳機能障害情報・支援センターでは全国高次脳機能障害支援拠点センターとして、全国10地域のブロックを代表する支援拠点機関と連携し、ブロック会議を通じて全国70か所(平成26年2月99か所に増加)の支援拠点機関の指導・助言に当たりました。また、高次脳機能障害支援拠普及全国連絡協議会および支援コーディネーター全国会議を2回開催するなど、事業の一層の推進と均てん化を図りました。さらに、高次脳機能障害に関し、様々な情報を収集・整理・発信し、諸機関からの各種相談を受けるなど、中央拠点として総合的な支援を行いました。
平成26年度は、これまでどおりに年2回の全国連絡協議会、支援コーディネーター全国会議等の開催及び公開シンポジウムや研修事業等の開催を通じて全都道府県の支援拠点機関とともに高次脳機能障害者支援のための医療・福祉サービス提供・利用の均てん化に取り組みます。
 また、小学生から高校生にいたるまでの年齢層での就学が大きな課題として残されています。この年齢層での社会参加とは学校に戻ることに他なりません。これを研究課題として取り上げ、教育関連機関と連携しながら、支援拠点機関を相談に訪れた子供をどのようにしたら学校に結び付けることができるか検討します。その道筋が整備されれば高次脳機能障害の支援普及事業は広いライフステージにある障害者(児)に対応可能な事業になると考えられます。
 さらに福祉就労レベルの高次脳機能障害者の居場所の充実を図ることは、支援の必要度が高い方まで対応できるようになるばかりでなく、都市部から離れた場所あるいは島嶼など自治体の中にあるサービス利用の不便の解消にもつながります。地域の支援者の高次脳機能障害への理解を深めるために、就労支援施設職員等を対象とした研修会を昨年度に引き続き今年度も開催する予定です。
 これらの事業展開は国リハの各部門の協力があって初めて可能になることであり、これまでに引き続き皆様のご助力をお願いするところです。