〔特集①〕
国リハ病院の医療サービス
 

○ 看護部

 新しい病棟は、広い食堂ラウンジ、機械浴や介護浴など様々な障害に合わせた多種類の浴室、多機能でユニバーサルなトイレ、明るい光彩などが特徴です。外来も広く診療科を配置し、手術室では器機類が一新されました。看護部はこうした病院環境に見合うケアの質へと高めたいと思っています。
 看護師の行う患者ケアはどの職種よりも日々の日常の生活に基盤を置いています。人と人との関わり合いの中で行き交う気遣いcaringが、本質的な看護のケアcareであり、看護の技artです。こうした日常生活に視点を置いて支えていく看護ケアの原点に、まずは立ち返りたいと思います。
 具体的には、接遇の見直し、看護の技術の見直しや開発だけでなく、患者様のケアニーズやエビデンスに基づくケア、国リハが医療提供する特殊な障害に対する看護ケアの開発や構築など、これからの国リハが目指す医療の中で、看護ケアの礎石を作り出すことが必要だと思っています。
 病棟は平成22年に1棟が休止しています。新棟の再開は病院の目標でもあり、看護部の目標でもあります。新棟を含めて4つの病棟は、病院の方針に基づき診療科構成の見直しをしています。しなやかにその流れに沿って看護部の体制を整えることが私たち看護部の当面の課題です。
 看護部自体は、これまでのように、リハビリテーション部門との連携の中で、専門的な機能を展開していくことで、他部局とのつながりを形成していきたいと考えています。連携のとれた病院スタッフの結集した力は大いに医療の質を上げることに繋がるでしょう。そのために時間、人、モノ、経済をコーディネートすることが医療の場における看護部の役割でもあります。そして看護部は、ここ数年、秩父学園とのケアの協働、新病院棟の病棟開設、伊東重度障害者センターとの統合に伴う看護師の派遣と準備等々、さまざまな時局の流れにもまれています。師長陣の力とスタッフの力を結集して対応にあたりたいと思います。

○ 医療相談室

 「医療相談室」は、新病棟1階の「医療福祉相談室/地域連携室」という部屋に移りました。構想時に期待していた組織上の「地域連携室」は立ち上がらなかったのですが、患者サービスの向上のためにも、地域の医療機関等と、患者様の入転院等に係るものを主として、様々な情報交換を充実させて連携を密にしていくことが必要と考えていますので、将来の「地域連携室」立ち上げを想定しながら、業務に取り組んでいきたいと思います。

○ 栄養管理室

 今回の移転により、充実した新しい厨房設備、栄養相談室が整いました。
 まだ、慣れないこともありますが、新たな気持ちで取り組んで参りたいと思います。栄養管理の目的は、患者様一人ひとりに対して、最適な栄養サポートを提供することです。
 障害の特性を十分に理解し、身体の状況に見合った適切な栄養補給を行い、栄養状態や生活習慣を改善することで、健康でよりよい生活を実現していくことが可能となります。
 患者様のQOL(生活の質)の向上に貢献するため、スタッフ一丸となって、充実したサービスが提供できるよう創意・工夫を凝らしながら進んでいければと考えます。
 よろしくお願い致します。

○ 薬剤科

 薬剤科は、新病院棟建替えを機に服薬支援室、持参薬管理室を新設しました。
 服薬支援室は、薬剤科が今まで行ってきた障害のある方が、それぞれの状態に合わせた調剤方法を選択出来るようにした障害者対応調剤を更に進めるために、また持参薬管理室は、外来・入院の患者様が持っている薬の確認や相談またドーピング防止相談を行います。
 両室は、それぞれ患者様が落ち着いて相談でき、また部門システムやオーダリングシステムを参照しながらその相談に充分な対応が出来るように設置しました。
 今後、この両室を活用して更に患者様の立場に立った薬剤科業務を行っていきます。

○ 臨床検査部門

 臨床検査は医療にはなくてはならない大切な仕事です。  病気の発見、病名の決定、経過の観察、治癒の確認等、医師の診療のサポートするために、患者様の主観に左右されない客観性の高い情報を提供します。
 臨床検査には、検体検査という採取した検体 (血液、尿、便、組織片等)と生理機能検査という体に直接器具をあてて調べる検査(心電図、脳波、呼吸機能検査、超音波検査、等)があります。
 我々臨床検査技師はこれらの検査を実施し正確で迅速な結果を提供することで、国リハの目指す暖かいケア、質の高いリハビリテーションサービス、総合的な障害者医療(障害者人間ドック、アスリートチェック等)に貢献するために、縁の下の力持ちとして、安全で良質な医療を支えるべく少数精鋭で頑張っております。

○ 診療放射線部門

 旧病院棟の放射線機器は、全てが15年以上経過していたため修理も難しく、大変厳しい状況下で運用していましたが、新病院棟開設にあたり放射線機器の殆どが更新されました。
 放射線部門の機器導入にあたり、リハビリテーションに役立つための機器選定はもちろん、各診療科および研究所との研究連携を担える仕様にしました。また、各機器においては画像情報のみではなく、様々な情報を可能な限り定量化する試みや付加するための情報収集を可能とするために周辺機器を強化させて頂きました。
 新病院棟では、今まで以上に縁の下の力持ちになれるようにスタッフ一同務めます。