〔特集〕 |
自動車訓練について |
自立訓練部 機能訓練課 熊倉 良雄 |
1.主な訓練区分 |
(1)新規訓練 第一種普通免許を取得するための訓練を行います。 対象者は、自立支援局で機能訓練を受けている頸髄損傷の方です。指定自動車教習所ではないので、全ての試験を運転免許試験場で受験します。 (2)習熟訓練 運転免許取得後に障害が発生した方、障害の状態が変わった方、障害後長期間運転を中断していた方を対象に、障害の状態に応じた運転補助装置が装備された自動車を安全に運転できるようにするための訓練を行います。 |
2.運転評価の内容 |
一般の教習所で実施している運転適性検査のほかに、障害の特徴を見極めるために視機能を評価する視野検査、運動機能を評価するアクセル、ブレーキ操作力検査(写真1)、注意機能を評価するCRT運転適性検査(写真2)などを行います。これらの結果を基に総合的に運転能力を評価して支援目標、支援方法、留意点などを策定します。
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3.運転訓練の内容 |
(1)学科訓練 交通の方法に関する教則、安全運転の知識、自動車の構造や取扱い方法、自動車税や取得税の減免制度などについて、学科教本や視聴覚教材を使って訓練を行います。 (2)実車訓練 初めに、閉鎖された安全な所内コース(写真3)で障害の状態に応じた訓練車(写真4、5)を使用し、周回路、交差点、狭路、後退の課題を通して運転操作の方法、車両感覚、後退での誘導など道路形状に合わせた円滑な通行ができるように繰り返し訓練を行います。また、スキッドコース(写真6)を使って滑りやすい路面での自動車の挙動変化を体験し、悪条件下での自動車の限界も体得します。頸髄損傷の方は、車いすと運転席の移乗が困難な場合があるので、移乗方法に応じて乗降用トランスファーボード(写真7)を選択して使用します。 次に、一般道路(写真8)で他の交通へ気配りをした主体的な運転方法や、交通場面に応じて危険を予測した運転方法を体得して単独で安全に運転ができるように繰り返し訓練を行います。障害によっては、運転時間の経過に伴って注意力が低下し運転ミスが増加する場合があるので、途中に10分の休憩を入れながら連続2時限の訓練も行います。最終段階では関越自動車道の所沢〜東松山間を使って高速道路での訓練も行い運転能力を向上させます。また、全ての訓練車にドライブレコーダが装備してあるので、訓練終了後に問題となった交通場面について、映像で再確認することで訓練効果を高めています。
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4.利用する場合の相談先について |
(1)自立支援局を利用する場合は、お住まいの市区町村の福祉担当へご相談ください。 (2)自立支援局を利用しない場合は、直接、自動車訓練室へご相談ください。 自動車訓練室では、障害者の自動車運転に関する様々なご相談に応じていますので、お気軽にお問い合わせください。 |