〔特集〕
発達障害関連事業
発達障害情報・支援センター長 深津玲子

 厚生労働省における平成27年度発達障害者支援施策は、施策方針の5本柱(1.地域支援体制の確立、2.支援手法の開発、3.人材の育成、4.就労支援の推進、5.情報提供・普及啓発)に沿って13の主要な事業が予算案に盛り込まれている。そのうち地域生活支援事業として行われる1.地域支援体制の確立、を除く4項目において、センターで実施することを明記した事業が予算案に計上されています。
 センターでは26年度に開設した発達障害関連部署連絡会の機能を生かし、国の施策に資するため事業を行います。(発達障害関連部署連絡会は、発達障害情報・支援センターを事務局、自立支援局発達障害支援室、秩父学園、病院第三診療部、学院研修担当、研究所発達障害研究室をメンバーとし、お互いに情報共有と連携を図り事業を円滑に進めます。)
 学院において実施される「発達障害者支援に係る研修事業」は、病院第三診療部、自立支援局発達障害支援室、秩父学園が協同してその知見を生かし、発達障害情報・支援センターのウェブサイトにおいて研修に関する情報を公開し、普及啓発を図ります。
 発達障害児・者の福祉サービス提供機関である自立支援局秩父学園と発達障害支援室、医療サービス提供機関である病院第三診療部、それぞれの専門分野の特性を生かした臨床現場として、地域支援体制モデルおよび支援手法の集約、分析、普及啓発を行います。
 発達障害情報・支援センター、発達障害の認知特性の解明と支援法開発に向けた研究を行う発達障害研究室、専門的知識を持つ人材を地域に育成するために研修を行う学院、というそれぞれの役割を果たすために27年度はさらに連携を深めていきます。
 27年度に行う発達障害者支援施策にもとづく事業4件については上記1〜4の通りです。
 なお、このほかに厚生労働科学研究、科学研究費補助金、学術研究助成基金等外部資金を用いて7件の発達障害に関する研究事業を行う予定です。

1.発達障害者就労支援普及・定着化事業

 自立支援局発達障害支援室は新規利用者の受け入れを促進し、支援事例を集積するとともに、支援プログラムの実践ポイント集の作成に着手します。発達障害情報・支援センターは同事業企画会議、作業部会を事務局として運営し、事業実施に伴う連携体系のサポート、支援手法の集約と普及のためのサポートを行います。

2.発達障害児および家族の地域生活支援

 秩父学園では、地域で生活する発達障害児とその家族に対して、幼児期から学童期、少年期と年齢層に応じた支援を行うとともに、療育の実践を通じて、療育技術の向上と切れ目ない支援の有用性を蓄積し、全国へ発信します。  特に、発達障害が確定する前の親子への支援方策のモデルとして、母子保健と障害児療育の繋ぎとなる地域子育て支援拠点型事業を推進し、取組の重要性を発信します。

3.発達障害者支援に係る研修事業

 平成26年度から新規で「発達障害地域支援マネージャー研修会」「発達障害就労移行支援者研修会」を実施しました。平成27年度はさらに「発達障害地域支援マネージャー研修会」の応用研修を新たに実施する予定です。
 知的障害・発達障害分野研修全体としては13回の研修会を予定しています。その内自閉症関係研修を含めた発達障害関係研修は9回となっており、その充実に努めます。

4.発達障害情報・支援センター

 センターにおける発達障害支援については、各分野の専門性を生かした支援を実施しています。発達障害情報・支援センターでは、26年度に発足した発達障害関連部署連絡会による連携強化を図り、汎用性の高い情報を収集し、ウェブサイト機能を十分に活用した各種情報の発信により、支援手法の普及と国民の理解の促進に努めます。