〔トピックス〕
「発達障害支援施策の支援事業」の実施状況
発達障害情報・支援センター

 平成28年8月12日付の国リハWebニュースでもお伝えしましたが、今年度からの新規事業として、「発達障害支援施策の支援事業」が予算化されました。事業の趣旨としては「自治体において効果的、効率的な発達障害支援施策が展開できるよう、専門家と連携を図りつつ、自治体に対して地域における支援体制構築に向けた指導、助言」を行うこととなっており、発達障害情報・支援センターが実施主体となっています。6月から8月までの3ヶ月間で8箇所の自治体を訪問しましたので、概略をお伝えします。
訪問先自治体の選考については、基本的に体制整備の検討の場である発達障害者支援地域協議会(以下、協議会)が未設置の自治体としました。更にプラスして先方が訪問を希望する場合、検討の上訪問先として追加しています。
 最初に訪問した自治体Aは先方が訪問を希望した自治体でした。成人期の地域支援体制の在り方を模索されており、ヒアリング・意見交換を行ないました。続けて訪問した自治体Bでは協議会の設置についてヒアリング・意見交換・助言の流れで進行しました。自治体Cは支援センター1箇所の他に5箇所のブランチを圏域に配置しており、現場レベルでは支援体制が整っていましたが、自治体として全体計画を検討する場が設置されていませんでしたので協議会の設置を検討していただくことになりました。自治体Dはこの度の法改正をきっかけに協議会設置を検討するとのことでした。自治体Eは設定している福祉圏域が機能しておらず、協議会設置の計画もないとのことでした。意見交換を重ねる中で平成30年度に向けて協議会設置を検討していただくこととなりました。自治体Fは協議会を設置していたものの平成25年度以降未開催となっており、今後は審議会の部会という形での開催を検討するとのことでした。自治体Gでは通知等に盛り込まれている発達障害分野の複数の会議に関して、それぞれの違いが分からないとのことでした。自治体Hでは報告のための会議は不要と考えており、現在「連絡会議」として中身のある会議を模索しているとのことでした。「連絡会議」を活用して協議会として機能させる方向で、意見交換が有意義に発展しました。
 自治体訪問を重ねていく中で様々な課題が見えてきました。訪問先すべての自治体に当てはまるということではありませんが、発達障害者の支援体制を整えていくためには解決しておきたい課題であると考えています。
①行政担当者に専門知識が乏しく課題等が把握できていない。結果として支援地域協議会設置の必要性を感じていないこと。
② 「発達障害者支援センター連絡協議会」「発達障害者支援地域協議会」の設置が定められているが、それぞれの意味・役割の違いを理解していないこと。
③ 自治体が発達障害者支援センターへ依存していること。
④ 国が求めているものを、自治体が過大なものと捉え、イメージの共有が図られていないこと。
 今回の自治体訪問を通して、上記4点に関して解決に向けた話し合いの中で、先方の理解が得られるとともにイメージの共有が図られ、事業の成果を実感することができました。今後も関係者と連携を図りつつ、必要に応じてフォローをしていきたいと考えています。