〔特集〕
学院における養成・研修の取組と卒業生・修了生の活躍

脳卒中リハビリテーション看護認定看護師養成課程
 脳卒中における急性期から回復期、生活期へのリハビリテーションを支える質の高い看護ケアを実践することができる認定看護師の養成を目的に平成23年10月に脳卒中リハビリテーション看護認定看護師教育課程を開講し、7年目です。すでに66名の修了生が医療現場で活躍しています。日本国の看護師免許を有し、臨床経験5年以上(3年以上は脳卒中に関係する臨床看護経験が必要)の現場の看護職が学びます。
 当教育課は7ヶ月という期間で現場の仕事を抱えながら学習します。教官は常に2名おりますが、国立障害者リハビリテーションセンター病院の看護師、認定看護師が併任教官としても関わります。研修生は北関東〜関西、四国方面から集まった仲間と、研修終了後も兄弟のように助け合い、励まし合っていく関係がつくられます。人生の宝物を得ています。
 また、学院養成学科との協働やセンター内の資源を活用した学習環境がさらに知識技術の習得を後押しします。
 修了生が一堂に集まって研修した平成29年度第1回研修会を紹介します。
ケース①ケース②ケース③
修了生氏名O.ST.AY.F
職場施設社会医療法人財団大和会
東大和病院
東京湾岸リハビリテーション
病院
医療法人社団誠馨会
千葉メディカルセンター
学習会テーマ脳卒中について、治療について安全な環境作り見つけてほしい脳卒中の症状
対象病院職員病院職員病院職員
学習会のスタイル講義形式講義・グループワーク・発表講義
平成29年9月4日(月)に開催されました。プログラムは以下のとおりです。
平成29年度第1回 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師教育課程フォローアップ研修会プログラム

開催日程:平成29年9月4日(月)9:10〜16:00
会場:国立障害者リハビリテーションセンター 学院6階 大研修室
参加費:無料(お弁当・資料代1000円を徴収)
8:40〜9:10 受付
9:10〜9:20 開会挨拶
【午前の部】
《Aコース》「下部尿路機能障害を有する患者の包括的排尿ケア」
9:20〜10:50
 講義 「下部尿路機能障害の病態・診断・治療・予防」
 講師 国立障害者リハビリテーションセンター病院 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 粕谷 陽子
11:00〜12:30
 講義・演習 「下部尿路機能障害を有する患者の排尿自立に向けたケア」(エコーを用いた残尿測定・自己導尿に関する指導・演習も含む)
 講師 国立障害者リハビリテーションセンター病院 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 粕谷 陽子
《Bコース》 「脳卒中患者のポジショニングと移乗」
9:20〜10:50
 講義 「脳卒中患者のポジショニングと移乗」
 講師 国立障害者リハビリテーションセンター学院 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師教育課程 専任教官 堀岡 美由紀
11:00〜12:30
 演習 「脳卒中患者のポジショニングと移乗」
 講師  国立障害者リハビリテーションセンター学院 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師教育課程 専任教官 堀岡 美由紀
【午後の部】グループワーク「脳卒中リハビリテーション看護認定看護師が行う学習会」
13:30〜13:50 オリエンテーション(全体)
13:55〜14:40 修了生による学習会の再現(各会場にて)
14:40〜15:25 意見交換(各会場にて)
15:30〜15:45 グループ毎の発表(全体)
15:45〜15:50 グループワークのまとめ
15:50〜15:55 全体のまとめ
15:55 閉会挨拶
アンケート記入
16:00終了
 修了生は66名おりますが、修了生3名にそれぞれの職場で実際に行った学習会について再現してもらいました。
 特にケースBの学習会では、実施までの企画書作成段階で苦慮され、学習者ニーズ、研修のねらい、教材観、学習者観、単元目標、内容に関する検討を上司含め、病院教育委員会や医師たちと吟味することに時間を要したそうです。企画書は3回の作成を試み実施に至ったとのことでした。認定看護師として、参加者に脳の解剖生理学を嫌悪感なく受け入れてもらうことを目的に計画を進めましたが自分の思いと実際職員の思いの合致点を見つけることに苦しんだようでした。
 実施は成功し予定どおりに進めたようです。事後のアンケートは98パーセントの回収率で、アンケートからの気づきも大きいとのことです。学習会開催の時期、時間帯、など配慮することも重要でした。学習会の実施によって今後の課題は3つ得られました。1つは研修時間の確保です。数多くの院内研修や学習会の合間に、会場確保ができるかどうか。2つめはテーマの選定です。参加者が「参加したい」と思うテーマはどのようなものか、伝えたいこととずれが生じるかもしれない・・最後に3つめは研修内容です。 短時間でわかりやすい内容にするためには細かく説明するのは難しいと感じます。 病院運営の方針、看護部の方針に沿った職員へ向けた学習会は現場のニーズを把握し、対象者の動機も押さえておく必要があります。 教育課程カリキュラムには共通科目の教科目として「指導」という科目があります。 相談とも関係するものですが、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師に求められる役割として看護実践、看護職からの相談、看護職への指導があります。
画像:研修会の様子
 今回の研修会ではその中の「指導」の部分で活動の実際を再現していただき、指導活動の前の準備、実際、事後の評価などを各部署で活動中の修了生とともに深める時間となりました。改めて気づくこと、よかった点、他施設の現場理解など久しぶりに時間を共にした学びの時間は有意義であったと思います。
画像:研修会の様子
 修了生のうちの多くは認定看護師として臨床看護実践の場で活躍していますが、数名は病棟師長となり、管理をになう立場の方もおりました。またご家庭の事情で臨床を離れている方もおります。
 様々な身の置き所にありながらも今後の脳卒中リハビリテーション看護の向上を目指して、修了生達がじっくり堅実に生活の場や臨床の場に存在していることが確認できました。
 全国には679名の脳卒中リハビリテーション看護認定看護師が活躍中です。
 さらに養成され必要な看護が提供されることを願っています。