〔特集〕
施設で行われる訓練(自立訓練)

自立支援局 第一自立訓練部 視覚機能訓練課長 谷 映志

1 施設で行われる幅広い訓練

 ロービジョンケアなどをきっかけにして、より幅広く訓練を受けてみたいと思われた場合には、見えにくい方々を対象とした支援を行っている施設や事業所で「自立訓練」と呼ばれるサービスを利用する方法があります。
 自立訓練には、①身の回りのことができるようになるための訓練、②読み書きなどのコミュニケーション技能に関する訓練、③安全に移動できるようになるための訓練があります。
 ①は「日常生活訓練」と呼ばれ、身繕いや掃除・洗濯などの家事に関する訓練を行います。必要に応じて、調理の訓練を行うこともあります。②では、「点字訓練」や、「ICT訓練」としてパソコン、タブレット端末、スマートフォンなどの操作に関する訓練も行います。ICT訓練では、自分の見え方に合わせて画面表示を設定する方法や自分が行った操作の状況が音声で出力されるようになる機能やアプリなどを用いることによって、タイピングや書類作成、メール作成や送受信、インターネット検索などができるようにしていきます。③では、安全で効率的に移動する手段として、移動介助の受け方や「白杖」を用いた単独での移動術について学びます。住宅地や混雑地、公共交通機関の利用等、それぞれの場面に応じた白杖や諸々の感覚の使い方についてお伝えしていきます。これらの訓練の中から、それぞれの方の見え方や困りごと、進路や今後の必要性などに合わせて科目や内容を選択していただきますが、いずれにしても、まずはご自身の見え方やその特性を知り、見えにくい状況にありながらも安全で効率的に行動できるようになるための所作や動作、方法などを身に付けます。なお、これらの訓練は、見えにくい弱視の方々のみならず、全く見えない全盲の方々にも有効です。
 当センターで訓練を受ける方法には、自宅などから施設に通う「通所」や併設された宿舎(寮)を利用する「入所」があります。場合によっては、職員がみなさんのご自宅にうかがう「訪問」をご提案することもあります。訓練の頻度や利用する時期・期間等については、可能な範囲でご事情に配慮します。なお、福祉サービスを利用する場合には、身体障害者手帳をお持ちか、あるい障害者総合支援法の対象疾患に該当していることが必要なほか、収入に応じた費用(利用料)が必要になることがありますので、利用に際しては、お住まいの地域の役所にも事前にご相談いただくことになります。
 
 

2 お住まいの地域における情報収集

 当センターと同じような訓練を受けることができる場所は、全国各地にあります。そこでは、「視覚障害生活訓練専門職員」(いわゆる歩行訓練士)と呼ばれる視覚障害者支援に関する専門家が、訓練だけでなく、見えにくいことによる生活上の困りごとなどに関する相談に乗ってくれることもあります。各都道府県の眼科医の先生方が中心となって、各地の支援機関を一覧にしたリーフレット(スマートサイト)が作成されていますので、今すぐに利用するわけではなくても、お住まいの地域にはどのような場所があり、どのような専門職の方がいて、どのような支援を受けることができるのか、調べておいてもよいのではないでしょうか。


■自立訓練(機能訓練/視覚)のご紹介(国リハホームページ内)
http://www.rehab.go.jp/TrainingCenter/General/training_visual/


■スマートサイト関連情報(公益社団法人日本眼科医会ホームページ内)

http://www.gankaikai.or.jp/info/detail/SmartSight.html