高次脳機能障害研究室の使命

病気や事故による脳損傷によって記憶、注意、思考、言語、数の操作、感情のコントロール等の認知機能に障害が起きた状態を、高次脳機能障害といいます(高次脳機能障害について詳しくは高次脳機能障害情報・支援センターへ)。当研究室の使命は高次脳機能障害のためのリハビリテーション手法を開発することです。我々は特に言語機能の障害を中心に研究を行っています。具体的には機能的磁気共鳴画像法(functional MRI),経頭蓋磁気刺激(TMS),脳波(EEG)などを使った認知神経科学的研究と支援機器の開発をしています。

研究課題

1. 高次脳機能障害における複数認知機能の同時障害のためのリハビリテーションの開発

失語としては軽度でも、言語に障害がある高次脳機能障害者は多いと考えられます。例えば長い文や複雑な文の読解が難しくなります。その理由として、作業記憶や記号操作能力の障害が言語運用に困難を生じさせていることが考えられます。つまり、文法能力には障害がなくても、記憶や情報操作に障害があると、言葉の産出や理解に支障を来す可能性があります。当研究室では文を理解する際に中心的役割を果たす統語処理能力を中心に、言語と記憶・注意・遂行機能の関係を明らかにし、有効なリハビリ手法の開発を目指しています。

言語と数学
言語と遂行機能

2. リハビリテーションの神経科学的効果解明のための基礎研究

リハビリテーションの分野では、効果は見られても神経科学的にはどのような作用をしているのかが明らかになっていない手法があります。

口形提示の神経科学的有効性の検証

3. リハビリテーションのゲーミフィケーション

リハビリテーションにゲーム性を持たせ(ゲーミフィケーション)、訓練を受ける人の動機を高めることができれば機能回復度が高まる可能性があります。

リハビリテーションにおける機能回復度と脳内報酬系の関係の研究

4. 脳可塑性への働きかけに基づくリハビリテーション

脳が持つ可塑性に働きかけることで、リハビリを促す技術の開発を目指します。

反復経頭蓋磁気刺激法とニューロフィードバック