近年、認知症のある人を支える新たな手段として、福祉機器による自立支援の可能性が期待されています。たとえ認知症になっても、生活を支える身の回りの物、たとえば、家電製品がもっと簡単に使えたら、記憶を補ってくれるシステムがあったら、私達の生活は大きく変わるはずです。アルツハイマー病の治療薬が認可されてから約10年が経ち、認知症は「治らない病気」から「生活上の障害」へと変わりつつあります。次の10年で、認知症のある人の生活を変えるべく、今回のシンポジウムでは、障害という視点で認知症を捉え直すと共に、ITやロボット技術も取り入れた「認知症のある人の将来の暮らし」を描きます。国立障害者リハビリテーションセンターでは、3年前より「認知症のある人の福祉機器の研究開発」を進めています。今回は、最新の研究報告として、平成19年度厚生労働科学研究費補助金 長寿科学総合研究事業にて実施した「認知症者の記憶と見当識を補う情報呈示による不安軽減効果の研究」の成果を発表します。