現状
平成23年に厚生労働省により実施された「生活のしづらさなどに関する調査」によると、我が国における視覚障害者の数は約31万人ですが、障害等級が1級と2級の方が過半数を占めており、障害の重い方が多いことが分かります。また、年齢が65歳以上の方が7割を占めるとともに、その原因となる疾患の多くは加齢に伴うものであることも分かります。
日本は今や超高齢社会であり、加齢に伴う見えにくさを生じる方も増加することが予想されます。こうした方々の生活における活動力を回復し、その質を向上させるためには、視機能の低下に関する専門的な知識や技術を有する専門職による支援が不可欠であり、その必要性はますます高まっていくものと思われます。
見え方のちがい
ひとくちに視覚障害といっても、見え方や見えにくさは人それぞれです。それぞれに特性やそれに伴う生活上の困りごとが異なることから、目の効果的な使い方に関する助言や必要となる支援の内容も異なります。

視力低下
いわゆる「目が悪い」のとは異なり、矯正しても一定以上は視力が上がりません。ゆがみやまぶしさを感じる方もおられます。

視野狭窄
視野が狭まり、見える範囲が限られてしまうため、周囲の状況把握や物の全体像の確認などが困難になります。その結果、足下の段差の存在に気付くことができなかったり、落とした物を探すのが困難になるなどします。

中心暗点
視野の中心部分が欠けるため、文字や人の顔などの見ようとする部分が見えにくくなります。

透光体混濁
眼球の透明な組織に濁りが生じる結果、目の中で光が散乱し、まぶしさを感じるようになります。また、明るさの差が小さい物の確認が困難になるため、同系色の段差などは識別が困難になります。