身だしなみを注意されても直せなかったり、場違いな言動で周りをとまどわせたりしがちな子どもの中に、発達障害の子どもがいるかもしれません。
困りごと:身だしなみを整えられない
「髪がボサボサ」「服装がだらしない」ってよく言われるけど、どこがおかしいの?
何回やり直しても、シューズのひもがすぐにほどけちゃう。
服のタグや縫い代がチクチク、ゴロゴロして苦手。裏返しとか、ゆるめのサイズとかが楽なんだけど。
発達障害の子どもは、他人からどう見られているのか意識しにくいので、身だしなみに関心が向かないことがあります。服装や髪形が乱れていても、人に言われなければ気づきません。
また、手先が不器用で、髪を整えたりひもを結んだりするのがうまくできない子どももいます。
触覚が過敏な子どもは、服の素材にこだわったり、身体を締めつける服や下着が苦手だったりすることがあります。
支援のポイント:良い例と悪い例が見てわかる
第二次性徴によってからだつきが変わってきたら、身だしなみやふるまいかたを変えるのがマナーであることを教えましょう。プライベートゾーン(水着で覆われるところ)は清潔にすること、他人から見えないようにすることを心がけるようにします。
発達障害の子どもは、文字やイラスト、写真があるとイメージしやすくなるので、悪い例と良い例が見てわかるような資料を活用しましょう。子ども向け実用書として、社会のルールやマナーをイラストでわかりやすく解説した本もあります。
また、身だしなみの整えかたについて、料理のレシピのような手順表やチェックリストを作成すると、子どもがひとりで取り組みやすくなります。
感覚過敏が強いなどの理由で、学校で指定された服装や髪形を整えることが難しい場合は、その子どもに応じた合理的配慮が必要になります。

困りごと:してもいいこと、悪いことがわからない
友だちに生理の話をしたら、「男子が近くにいるでしょ!」って怒られた。
同じ班の男子と肩をたたいたりしてふざけ合っていたら、「男子にベタベタしてる」って言われた。
発達障害の子どもは、羞恥心の発達がゆっくりだったり、ふるまいかたが幼く見えたりすることがあります。
異性との距離などには暗黙のルールやマナーがありますが、察することが苦手な子どもは教えてもらわないとわかりません。
支援のポイント:相手との関係に着目する
同じ行動でも、相手との関係によって、その行動の持つ意味が変わることを教えましょう。
人にはそれぞれのパーソナルスペース(自分が心地よいと感じる相手との距離)があります。発達障害の子どもは、適切なパーソナルスペースを推し量ることが苦手なので、周りの人が具体的に教える必要があります。友だち、クラスメート、顔見知りの人など、自分との関係の近さに応じて物理的な距離が変わることを、図で表すとわかりやすいです。
また、距離だけでなく、言葉遣いや話題も変わること、さらに、異性との距離は同性よりも広くとることもマナーとして教える必要があります。
