困りごと:女子同士の話についていけない
女子の話っておもしろくない! おしゃれとか恋愛とか興味ないし。一応聞いてるふりしてるけど、急に「ねえ、どう思う?」とか聞かれると困るんだよね。
みんなが「かわいい」って盛り上がっているときに、「かわいくないね」と正直に言ったら急に静かになっちゃった・・・。
グループで話すのって疲れる。話題がクルクル変わるし、いろんな人に一度に話されると、何を話してるんだかわからなくなっちゃう。
発達障害の子どもは、興味の偏りやこだわり、想像力の欠如により、同年代の女子と話題が合わないことがあります。また、あいまいな話や暗黙の了解がわかりづらいので、会話の流れについていくのが大変です。
女子同士の他愛のないおしゃべりの場で、居心地の悪さを感じている子どもがいます。そのために、人と関わること自体を避けるようになって、教室や学校に行けなくなる子どももいます。
支援のポイント:無理に周りに合わせなくてもいい
「無理に周りに合わせなくてもいい」という考えかたもあります。すべての人と仲良くすることに過度にとらわれる必要はなく、仲良くなれない人もいることや、理解してくれる人がいれば数は少なくてもいいことを伝えると、心の負担が軽くなる場合があります。
おしゃべりは苦手なので深入りしないようにしたり、聞き上手になろうと考えたりすれば、自尊感情が傷つくことも避けられます。自分から「会話があまり得意ではない」などと伝えるのもひとつの方法です。
また、本人の心の安定のためには、ひとりの時間を安心して過ごせることも必要です。ひとりでいたい時には「今は本を読んでいたい」などと伝えるなど、自分のペースを大切にしてもよいことを伝えましょう。
みんなの輪の中に入れない時もあることを周りが理解し、本人にとって無理のない範囲で一緒に過ごせることが大切です。

困りごと:悪気はないが、なぜか相手を不快にしてしまう
友だちに「最近太ったね」って言ったら、口を聞いてもらえなくなった。いつも体重を気にしてるから、教えてあげたのに。
休み時間に本を読んでたら、友だちが「ちょっと保健室につき合って」って。私は別に用事はないから「行かない」って答えたら、「○○ちゃん冷たい!」って怒られた。
Aちゃんたちが「Bちゃんって嫌だよね」って言ってたのを、Bちゃんに教えてあげた。Aちゃんのグループからはずされたのは、そのせい?
発達障害の子どもは、表情やしぐさ、言葉の裏などを読み取って相手の気持ちや状況を理解することが苦手です。相手の気にさわる言葉や行動であることに気づけず、自分の思いのままに行動してしまうためトラブルになることがあります。
悪気はなかったのに、なぜ相手を不快にしてしまうのかわからずに悩んでいる子どもがいます。
支援のポイント:相手の気持ちや暗黙の了解を「言葉」にする
トラブルになった理由を解説してあげましょう。本人にとって無理がなければ、実際に困った場面を使います。自分との感じかたや考えかたの違いに気づいてもらい、望ましい対応のしかたを一緒に考えます。その際、本人の思いを受け止め、本人なりの工夫を尊重することが大切です。
まず、相手が不快になった理由を説明します。「あなたは○○と思ったんだね。悪気はなかったんだね。でも、そういう言いかただと、相手は△△だとあなたの言葉を誤解してしまうんだよ」などと、その時の自分や相手の気持ちを言葉にして整理します。言われただけでは理解しづらく記憶にも残りにくいので、文字や図、絵などを使って書いて伝えると効果的です。
対応のしかたについては、不適切な方法を禁止するのではなく、「この言葉はみんなが嫌がるから言わない方がいい。○○と言ってみるのはどう?」「そういう時は、〇〇と言えばわかってもらえる」など、望ましい方法を具体的に話しましょう。
社会でのふるまいかたをひとつひとつ具体的に学んでいくことは、将来の生活をより充実させることにつながります。