相手にだまされたり誤解されたりして性トラブルに巻き込まれやすい子どもの中に、発達障害の子どもがいるかもしれません。 

困りごと:なぜこうなったのかわからない 怖かったけど話せない

男子とふたりで話していたら、急にからだに触られた。「好きだから」って言われたから我慢してたけど、嫌だった。

夜ひとりで歩いていたら、知らない人に急に抱きつかれて怖かった。親に「帰りが遅い」と叱られて、そのことは言い出せなかった。

 SNSで知り合った男の人と共通の趣味のイベントへ出かけた。帰りに「ちょっと休もう」とベッドがある部屋に連れていかれて・・・。

 発達障害の子どもは、言葉を文字通りにとらえがちなのでだまされやすかったり、相手に不用意に近づき過ぎて誤解されたりすることがあります。自分が危険にさらされていることに気づけないため、性トラブルに巻き込まれやすいようです。

 また、自分の気持ちを表現することが苦手だったり、被害にあったのは自分のせいだと思い込んでしまったりして、周りにSOSを出せずひとりで悩んでいる子どももいます。

支援のポイント:危険な場面、自分を守る方法を知る

 子どもが性被害にあっていることに気づいたら、子どもの恐怖感やとまどいを受けとめ、「あなたは悪くない」「話してくれてありがとう」と伝えましょう。子どもが安心して話せることを最優先にし、叱ったり、詰問したり、大人の一方的な判断で決めつけたりすることは控えます。

性被害にあわないようにするために、相手の言葉や行動の裏にありがちな意図を解説して、どのような状況が危険な場面なのかを具体的に教えましょう。そして、はっきりと「NO!」の意思表示をするために、やめてと言う、大声を出す、逃げるなど、場面に応じてどのような方法があるかを一緒に考えるとよいでしょう。

 さらに、インターネット上のコミュニケーションはトラブルに巻き込まれやすいので、SNS等の危険性とルールを教えましょう。知らない人からの誘いに乗らないこと、写真や個人情報を安易に掲載しないことなど、本人の利用状況に応じて具体的に確認する必要があります。

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困りごと:なぜ相手が応えてくれないのかわからない

 LINEのメッセージ、既読なのに返事が来ない。どうしてだろう?・・・返事が来るまで何度も送ってみよう。

 好きな子と話したくて、毎日その子の教室の近くで待っている。でも、何度声をかけても無視される。今度は帰り道に後をつけていこうかな。

 発達障害の子どもは、相手の気持ちを推し量ることが苦手だったり、暗黙のルールがわからなかったりするために、相手が嫌がっていても気づけないことがあります。その結果、自分の気持ちを優先してしまって、アプローチが一方的になりやすいこともあります。

 「仲良くしたいと思ってやったことなのに、なぜ?」と悩んでいる子どもがいます。

支援のポイント:相手の気持ちを確認する

 自分が好きだと思っていても、相手が自分と同じ気持ちだとは限らないことを教え、相手がどのような気持ちなのかを確認しましょう。「教室で何度も目が合うから、きっと自分のことが好きなんだ」などと勘違いしている場合があるので、何を手がかりにして相手の気持ちを判断するかを一緒に考えます。

 また、何度もしつこく連絡したり待ち伏せたりすることは、相手が不快に思うので好意の表しかたとしてふさわしくないと教えましょう。許容範囲は相手との関係性によって変わることを、その子の状況に合わせて具体的に教える必要があります。

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