発達障害の早期発見後の家族への助言について

診断別の助言

自閉症の場合

 子どもは、周囲の感覚刺激に過敏で集団参加をいやがったり、独特の仕方で物事を学んだりしがちなので、まずは家族が適切な「感覚的な刺激への配慮」や「教え方」を身につけることが大切です。

  (例1)少しでも濡れた衣類が苦手な場合

→【ポイント】感覚の過敏さ(鈍感さ)について理解する。
  「猫舌」の人が熱い食べ物をがんばっても苦手なように、努力だけで克服することが困難な場合もあるので、無理強いは控えましょう。

(例2)大人の指示がわからない場合

→【ポイント】言葉だけでなく、見せ方の工夫をする。
  言葉での説明や注意だけで終わらせるのではなく、絵や実物をならべて見せたり、大人が見本を見せたりするなど、伝え方の工夫をしましょう。

(例3)自分でやることをいやがる場合

→【ポイント】成功体験を重視する。
  たとえば、食べ終わる直前の一口だけ自分でスプーンを使わせるところから、少しずつスプーンを持つタイミングを早くしていくなど、ゴールが見えやすいところから始め、成功体験をしやすい工夫をしましょう。

注意欠陥多動性障害の場合

 子どもは、じっとしていよう、忘れ物をしないでおこうと思っても、失敗を繰り返しがちなので、まずは家族が「子どものがんばりを認める姿勢」を身につけることが大切です。

(例4)動きが活発で危なっかしい場合

→【ポイント】子どもの行動の前後に気を配る。
  壊されて困る物は先手を打って本人から遠ざける、じっとしていてほしいときに着座していられたら、すぐにほめるなど、タイミングをとらえた対応をしましょう。

(例5)気が散りやすく話しを最後まで聞けない場合

→【ポイント】子どもの注意が続く長さに合わせる。
  大事なことを最初に言う、短く話す、注意がそれても大事な点が分かるように要点を書いて見せるなどの工夫をしましょう。

助言を行う際の留意点

子どもがどんな特徴をもっているか、家族が理解できるようにすること

 専門的な発達評価(検査や行動観察など)を行い、客観的な子どもの状態(わからない、できない、苦手、やりたくないなど)を家族に伝える。

個々の子どもや家族の状況に合わせた助言を行うこと

 子どもの学び方や家族の障害の受け止め方は個々に異なるので、他の子や他の家庭と比べずに、個々の子どもと家族ができる方法を一緒に検討する。