地域ごとの連携方法と利用しうる機関

 厚生労働省ではライフステージに対応した一貫した支援を行うため、支援関係機関のネットワーク構築を推進しています。

  • 連携モデル
  • 地域支援体制について
  • 発達障害者支援にかかわる者の役割と課題
  • 他機関連携の重要性

連携モデル

 地域によってそれぞれ違いはありますが、本人やその家族、専門機関、地域社会との間では、次のような連携が行われます。

各都道府県・指定都市に設置する発達障害者支援センターにおいて、発達障害者またはその家族などに対して、相談支援、発達支援、就労支援および情報提供などを行う。

発達障害者支援センター情報提供の流れ

地域支援体制について

 発達障害者への地域における支援については、発達障害者支援法を踏まえ、各ライフステージに対応した一貫した支援を行うことが重要です。都道府県や市町村では、地域の状況に応じて、医療・保健・福祉・教育・労働などの各分野における支援関係機関のネットワークを構築し、個別に支援計画の作成・活用などにより、支援体制の充実化をはかっています。

発達障害者支援にかかわる者の役割と課題

 発達障害者の支援においては、それぞれの関係機関が求められる役割を把握し、遂行していくことが重要になってきます。関係機関同士が、お互いの役割を明確に認識することで、よりよい地域連携が可能になります。展望もふくめ、「発達障害者支援の推進について(発達障害者施策検討会報告書)」(平成20年8月29日公表)に準じて説明します。

直接処遇職員

 直接処遇職員とは、日常業務において、本人やその家族に関わる機会が最も多い、保育所や学校などの職員のことです。発達障害の特性や支援方法に関する理解を深め、本人やその家族に対して適切な情報を提供できること、日常生活支援が行えること、専門的な支援を行う機関への相談や紹介ができることが求められます。

専門機関

 医療機関、保健所・保健センター、精神保健福祉センター、教育センター、障害者職業センター、障害児通園施設、児童デイサービスなどの専門機関については、発達障害について信頼のおける情報を常に把握し、本人やその家族からの相談や直接処遇職員からの相談に対し、的確な助言をするようつとめることが求められます。

発達障害者支援センター

 ライフステージに応じた適切なアセスメントや相談などの対応が提供できること、直接処遇職員や専門機関では対応が難しい場合には責任ある対応ができること、地域の状況を把握し対応することが重要です。また、発達障害者支援センターは、地域における発達障害者支援の中核機関であり、地域支援体制の構築も担っています。

市町村

 個別の支援計画の提供や人材の育成、住民に対する普及啓発などをおこないます。これらの実施にあたっては、地域自立支援協議会の活用などによる関係者・関係機関との連携や、要保護児童対策地域協議会や特別支援教育のための協議会などと連携をはかっていくことが求められます。

都道府県

 都道府県内の状況を把握し、地域における支援体制の整備を推進するとともに、支援に関する事業の実施、人材の育成、住民に対する普及啓発などをおこないます。支援体制の整備にあたっては、専門医療機関や精神保健福祉センター、保健所、児童相談所、特別支援学校などとの協力体制を構築することも求められます。

 支援手法などの開発や研究、専門的な人材の養成、社会全体に対する発達障害の正しい理解の普及啓発をさらに進めます。また、地方自治体の支援施策について、基本的な方針を示すとともに、効果的な取り組みを行っている自治体の事例を紹介していきます。発達障害情報・支援センターや発達障害教育推進センターについても、全国への情報発信の拠点としての機能の充実をはかります。

多機関連携の重要性

 発達障害は、特徴の程度がひとりひとり少しずつ異なり、また、年齢や環境により目立つ症状も異なるため、一つの機関だけで診断や支援をおこなうことは困難です。医療・保健・福祉・教育・労働などの領域が相互に連携して支援体制を構築し、包括的な支援チームを形成することで、本人がライフステージにおけるそれぞれの課題に立ち向かう一助になることが大切です。

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