ここでは、発達障害者支援法に定義されている各障害について、診断名や症状を解説します。
- 広汎性発達障害とは
- 自閉症とは
- アスペルガー症候群とは
- 学習障害(LD)とは
- 注意欠陥多動性障害(AD/HD)とは
- トゥレット症候群とは
- 吃音[症]とは
- その他の発達障害
広汎性発達障害とは
広汎性発達障害(PDD:pervasive developmental disorders)とは、自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害をふくむ総称です。
以下のページもあわせてご覧ください。
発達障害教育推進センター研修講義「自閉症の医学」
自閉症、アスペルガー障害を含む広汎性発達障害の理解と対応について、医療との連携をどのように図ればよいかについての研修講義です。
自閉症とは
自閉症は、次の3つの特徴をもつ障害で、3歳までには何らかの症状がみられます。
(1)対人関係の障害
(2)コミュニケーションの障害
(3)限定した常同的な興味、行動および活動
最近では、症状が軽くても自閉症と同質の障害のある場合、自閉症スペクトラムと呼ばれることがあります(スペクトラムとは「連続体」の意味)。
自閉症についての詳細な説明は、こちらをご参照ください。
アスペルガー症候群とは
対人関係の障害があり、限定した常同的な興味、行動および活動をするという特徴は、自閉症と共通した障害です。アスペルガー症候群(Asperger syndrome)は、明らかな認知の発達、言語発達の遅れを伴いません。
アスペルガー症候群についての詳細な説明は、こちらをご参照ください。
学習障害(LD)とは
学習障害はLDと略されることもあり、Learning DisordersまたはLearning Disabilitiesの略語とされています。全般的な知的発達に遅れはないのに、読む、書く、計算するなどの特定の能力を学んだり、おこなったりすることに著しい困難がある状態をいいます。
学習障害(LD)についての詳細な説明は、こちらをご参照ください。
注意欠陥多動性障害(AD/HD)とは
注意欠陥多動性障害(AD/HD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、ADHDと表記されることもあります。注意持続の欠如もしくは、その子どもの年齢や発達レベルに見合わない多動性や衝動性、あるいはその両方が特徴です。この3つの症状は通常7歳以前にあらわれます。
(1) 多動性(おしゃべりが止まらなかったり、待つことが苦手でうろうろしてしまったりする)
(2) 注意力散漫(うっかりして同じ間違いを繰り返してしてしまうことがある)
(3) 衝動性(約束や決まり事を守れないことや、せっかちでいらいらしてしまうことがよくある)
一般的に多動や不注意といった様子が目立つのは学齢期ですが、思春期以降はこういった症状が目立たなくなるともいわれています。
注意欠陥多動性障害(AD/HD)についての詳細な説明は、こちらをご参照ください。
以下のページもあわせてご覧ください。
発達障害教育推進センター研修講義「ADHDとは何か?」
トゥレット症候群とは
トゥレット症候群(TS:Tourette's Syndrome)はTSと略されることもあります。多種類の運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上にわたり続く重症なチック障害です。通常は幼児・児童・思春期に発症します。多くの場合は成人するまでに軽快する方向に向かうと言われています。
トゥレット症候群についての詳細な説明は、こちらをご参照ください。
運動チックとは
突然に起こる素早い運動の繰り返しです。目をパチパチさせる、顔をクシャッとしかめる、首を振る、肩をすくめるなどが比較的よく見られ、時には全身をビクンとさせたり飛び跳ねたりすることもあります。
音声チックとは
運動チックと同様の特徴を持つ発声です。コンコン咳をする、咳払い、鼻鳴らしなどが比較的よく見られ、時には奇声を発する、さらには不適切な言葉を口走る(汚言症:コプロラリア)こともあります。
※このような運動や発声を行いたいと思っているわけではないのに行ってしまうということがチックの特徴です。
吃音[症]とは
吃音(Stuttering)とは、一般的には「どもる」ともいわれる話し方の障害です。なめらかに話すことが年齢や言語能力に比して不相応に困難な状態であり、下に示すような特徴的な症状(中核症状)の一つ以上があるものをいいます。
(1) 反復(単音や単語の一部を繰り返す)(例:「き、き、き、きのう」)
(2) 引き伸ばし(単語の一部を長くのばす)(例:「きーーのうね」)
(3) ブロック(単語の出始めなどでつまる)(例:「・・・・・っきのう」)
症状は幼児期に出始めることがほとんどですが、中には思春期頃から目立つようになる人もいます。
幼児期からどもりはじめた人の過半数は、学童期あるいは成人するまでに症状が消失したり軽くなりますが、成人後も持続する場合があります。思春期から症状が目立ち始める人は少ないですが、器質的な原因の場合もあるので医療機関などで相談することをおすすめします。
(注)吃音は、世界保健機関(WHO)による国際疾病分類第10改訂版(ICD-10)において「通常小児期および青年期に発症する行動および情緒の障害」に分類されています。
吃音症についての詳細な説明は、こちらをご参照ください。
※幼児吃音については、2021年9月に公開された幼児吃音臨床ガイドライン第1版(2021)をご参照ください。
その他の発達障害
上記のほかにも、発達性協調運動障害なども発達障害者支援法に基づく発達障害の定義にふくまれています。
また、選択性緘黙(場面緘黙)(外部リンク「子どもの心の診療ネットワーク事業ウェブサイト」)は、医学的には不安症群として分類されていますが、発達障害者支援法に基づく支援の対象にふくまれています。
※その他の発達障害に関する参考資料はこちらをご覧ください。