~ 墨字(普通文字)、点字ともに読み、書きが困難 ~
センターの利用開始時には、墨字、点字ともに読み、書きが困難な方が入所する例が数多くみられます。どのような方法で学習するか(学習手段)の有無は、その後の理療*学習の習得に大きく影響するため、早期より個々の見え方に応じた学習手段を確立するための個別支援を行います。
* 理療:あん摩、マッサージ、指圧、鍼、灸
入学直後に <初期学習支援>を実施し、見え方に応じた学習手段が確立されているか、また、情報機器の操作など今後の学習に十分に対応できるかどうかの調査を行います。今後の学習に支障があると判断した場合は、放課後を利用し、その障壁を取り除くための支援を行います。
多くの場合、読み(情報の入力)は音声※、書き(情報の出力)は点字で行う方法を採り、学習や受験に最低限必要な支援を行います。また、必要に応じて音声PCを使用して授業内容などをまとめるための支援を行います。 ※ある程度視力がある方は、拡大読書器(文字を拡大する機器)を使用して読み・書きする場合があります。
授業を録音し、録音した授業内容や教科書、試験問題を再生して聴くことができることを目標に支援を行います。
- 録音、再生ができる。
- マーク(見出し、しおり)を付けることができる。
※聴きたい箇所を抽出して聴くために必要な操作
※センターでは、必要に応じデイジー録音再生機の貸し出しを行っています。
定期試験で解答できることが目標となります。最終的には国家試験を受験できるレベルまでになる必要があります。
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目標1:定期試験で解答できる。
- ・氏名、科目名、数字(1~20)
- ※定期試験の多くは、四者択一、最大20問
目標2:定期試験で円滑に解答し、解答の確認ができる。
- ・デイジー録音再生機を操作しながら点字で筆記ができる。
- ・1~4までの数字を触読できる。
目標3:国家試験で解答ができる。
- ・数字を180まで読み書きができる。
- ※国家試験は最大180問
目標4:用語や文章を筆記できる。
- ・五十音の筆記
- ・濁音、半濁音、拗音の筆記
パソコンに授業の重要な部分などをまとめて自分自身のノートを作成します。作成したノートをスクリーンリーダー(画面読み上げソフト)で読み上げ、繰り返し聴いて暗記します。
・パソコンの画面を読み上げるため、次のソフトをインストールします。
- スクリーンリーダー:画面読み上げソフト
- 読み辞書:理療の学習で出てくる用語などを読み上げるために必要な辞書
- 拡張辞書:理療の学習に出てくる用語を漢字に変換するために必要な辞書
・自分の仕様に合わせた設定を行います。
上記の各種設定後、利用者の希望(操作技術)に応じ、センターでの学習に必要となる支援を行います。
- ノートの作成方法
- フォルダの管理
- メールの送受信
- センター内クラウド共有
ファイルのアクセス方法
Aさんは、理療を習得する目的で、就労移行支援での訓練前に自立訓練を利用しました。自立訓練では、目的がはっきりしていたこともあり、理療学習に必要となる学習補助具の情報提供や操作方法の支援について、特別指導教官を中心とする理療教官が参加して行いました。その結果、音声/点字 の学習手段を確立して自立訓練を終了することができました。就労移行支援利用開始後は、理療学習へ支障なく取り組むことができ、その後は順調に経過しています。
「どこでも教えてもらえませんでしたが、見えにくくても学習が続けられる機器があるんですね。」と話をしていたBさん。<初期学習支援>で、見え方に応じた学習補助具を紹介し、その操作方法の個別支援を行いました。特に音声PCの操作方法を覚えたことで、学習の要点を記録し、今の自分に合った環境で自学自習ができるようになりました。1年目は不慣れな補助具を使用しての学習に苦労する様子もみられましたが、その操作に慣れるに従い、学習に対する積極性がみられるようになりました。