コクリハニュース

第376号(令和7年秋号)巻頭言

~学院から~

学院長 世古 裕子

 令和5年4月1日から学院長をさせていただいている世古裕子と申します。学院の概要と最近の様子を少しご紹介させていただきます。

 学院は、障害に関わる専門職の養成と研修に携わっています。養成事業では、障害のある方に対するリハビリテーションや障害のある児童への保護・指導を行う専門職について、指導的役割を担い得る人材の養成を目指しています。昭和46年から旧国立聴力言語障害センター附属養成所で開始された養成が、昭和54(1979)年に開設された国立身体障害者リハビリテーションセンター開設に合わせて、学院の聴能言語専門職員養成課程(現在の言語聴覚学科)となったのが始まりです。その後、現在の義肢装具学科(昭和57年度)、視覚障害学科(平成2年度)、手話通訳学科(平成2年度)、リハビリテーション体育学科(平成3年度)が順次開設され、平成24年度には、秩父学園附属保護指導職員養成所が組織統合されて児童指導員科としての業務が開始され、全6学科となりました。学生にとっては、医療、福祉あるいは研究を専門とする当センター職員から直接学ぶ機会を得られることが学院の大きな魅力となっており、これら職員には平素より感謝しております。養成している専門職はいずれも社会的ニーズが高いので、就職率はほぼ100%ですが、定員充足率に課題があり、入学試験の日程の見直しや各種広報活動など、できることから改善に努めています。

 研修事業は、各専門職の指導的役割を担う人材を育成することを目指し、令和6年度には全36研修を実施しました。多くの当センター職員が講師としてご登壇しています。コロナ禍を経て多くの研修がオンラインで実施されていますが、講師の先生方のご理解と事務室のみなさまのご尽力によって、今年度から、一部の研修でテキストの電子媒体化が実現し、受講者のさらなる増加に繋がっています。

 これ以外にも、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師教育課程では、現任の看護師を対象として約半年間の研修が実施されています。

 最後に少し自己紹介をさせていただきます。医学部を卒業後、眼科での研修を開始し、“強度近視外来”という専門外来にも従事しました。強い近視でも、たいていは眼鏡を掛ければ良く見えるのですが、一部の強度近視は病的近視と呼ばれ、網膜や脈絡膜の一部が萎縮し、徐々に視機能が低下します。治療法がなく徐々に萎縮が進行する眼底病変に接し、基礎研究に興味を持つようになり、大学院生として基礎研究を学びました。大学院修了後、病院勤務や研究所勤務を経て、国リハ研究所に着任しました。研究所では、進行性の変性疾患で難病のひとつである網膜色素変性に関する基礎研究に携わりました。このような背景ですから、学院長を拝命するまでは、学院で養成している専門職についてほとんど知識がなく、教官の皆様に教えていただきながら学んできました。

 学生一人一人が夢を持って学び、職員一人一人の能力が最大限活かされ、学院に関わる方々皆様が幸せになれるよう、専門職の養成と研修を通して障害者の福祉向上に貢献することができるよう、日々精進してまいりたいと思っております。今後とも引き続き、ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。