〔野鳥シリーズ46〕 |
リハセンターに飛来する野鳥を友に |
東京都福祉事業協会 母子生活支援施設 スタルト方南 見原 捷三(元理療教育部長) |
サシバ
毎年10月10日の体育の日前後になると、東日本に飛来していたタカの仲間が、
愛知県の渥美半島の伊良子岬に集結して、天気が良ければ秋の日差しを受けな
がら、上昇気流に乗り東南アジアに向かって渡って行く様は、まさに圧巻です。
この時、タカは群れをなして円を描きながら徐々に高度を上げていくことを、
俗にタカ柱と言われています。
このように書くと「えっ!タカは渡り鳥なのか?」とお思いの方もおられる
と思いますが、タカの仲間の中でも、今回掲載しますサシバとその外、ハチク
マと言うタカも、夏鳥の渡り鳥です。
さて、このサシバは、全長約50cm、翼を広げると102.5cm〜115cmになり上面
は褐色の眉斑があり、喉の中央に太い黒色縦線、それに尾は、暗灰褐色で数本
の黒い帯があります。(写真左右)
日本では、山形県以南の本州から九州までの低山から丘陵に棲み、周辺の水
田などの開けた所で、ヘビ、トカゲ、カエル、ネズミ、昆虫等を捕食します。
木の枝や電柱などの高い所から地上を見張り、獲物を見付けると、すばやく
飛び降りて捕らえる姿は精悍です。所沢周辺の丘陵でも繁殖していますので、
リハセンター上空を飛んでいることもあります。
繁殖期には、急上昇と急降下を繰り返すディスプレー(求愛行動)が見られ
ます。目出度くつがい番が形成されると、松や杉などの枝に枯枝を積み重ねた
皿型の巣に、2〜4個を産み抱卵日数は約30日、その後、30〜35日で巣立ちま
す。無事に生育した若鶏も大群をなし、伊良子岬、紀伊半島、四国を経て、鹿
児島県の佐多岬に集結し、琉球諸島を南下して、フィリピン諸島、カリマンタ
ン島(ボルネオ)、スマトラ島などで越冬し春には、再び日本列島を目指して
渡ってきます。
ところで、松尾芭蕉は紀行「笈の小文」の中で、伊良子岬を訪れた際、これ
らのタカを、次の俳句に詠んでいるのでご紹介します。
「鷹一つ 見付けてうれし いらこ崎」
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