衣服や排泄用具など身体に直接触れる福祉機器を評価するには、実際に人に使ってもらう必要があります。障害者の方に何度も実験にご協力頂くのは大変な負担であり、効率的な方法とは言えません。そこで、本研究では人の身体を模したダミーロボットを開発し、このダミーロボットを用いて機器評価を行う方法を提案します。特に、本研究では主に脊髄損傷者の方を主な支援対象としています。ジャケットなどを着衣している際の腕の動きやすさを評価するために、ダミーロボットは人のような広い腕の可動域を有する必要があります。また、脊髄損傷者の方は脊髄の損傷箇所によって障害の度合いが異なり、それに伴い体型の違いが見られます。そこで様々な体型を再現できる必要があります。本研究のダミーロボットは人のような広い肩の可動域を有しつつ、肩、胸、腹などの変形が可能な機構となっています。着衣時の動きやすさを評価するために、ダミーロボットの表面には圧力を計測可能なセンサが搭載されています。ダミーロボットの外観(上半身)は図1の通りです。また、臀部ダミーも作成し主に褥瘡の予防をテーマにした研究を実施しています。

人型ダミーロボットの写真

図1 福祉機器の客観的評価のための外装変形機構を有する人型ダミーロボット

【殿部に働く圧縮・せん断荷重計測への協力者の募集】

研究課題名: 座位姿勢の変化と殿部に働く圧縮・せん断荷重に関する研究

研究責任者: 中山 剛(研究所 障害工学研究部 電子応用機器研究室長)

1. 対象となる方

  褥瘡の治療を受けておらず、褥瘡がなく、本実験で褥瘡リスクが低い方を対象とします。

2. 研究の目的・意義

  • 褥瘡になりにくいクッションや便座の評価を行うことを目的としています。
  • 褥瘡の評価方法として、人の殿部を模擬した装置(殿部ダミー)を開発します。
  • 殿部ダミーによって褥瘡リスクの軽減、褥瘡予防に効果があると期待できます

3. 実験方法

  • 実験内容の説明から実際の計測まで2時間以内を予定しています。
  • 下図のように殿部に働く圧縮・せん断荷重を計測します。
  • 計測には圧力分布測定装置とせん断力センサという装置(下図)を使います。
  • 車椅子のリクライニング角度とチルト角度を変化させて計測します
  • 装置は特に人体への害はありません。
  • 身体の寸法も計測します。
計測の様子

4. 謝金の有無

  有り(研究所の被験者謝金の規定に準じます)

5. 連絡先担当者

  研究所 障害工学研究部 中山剛

  Email: nakayama-tsuyoshi[ここにアットマークを入れる]rehab.go.jp  センター内線番号 2569