重度障害者とQOL 〜入所者に対する意識調査に見る変化〜

国立伊東重度障害者センター 指導課


杉江勝憲・野口好勝・秋山誠一
鈴木克子・ 加藤晴喜

【はじめに】
 国立伊東重度障害者センター(以下、センター)では、平成2年に当時の入所者を対象とし、「入所者の重度化、ニーズの多様化 に対して今後に於けるリハビリテーションが可能な限り効果的に行われるよう必要な資料を得ること」を目的として意識調査を 実施した。その調査から10年を迎えた今年、現在の入所者に対して同様の調査を行い、10年前の結果と比較し、 その意識の変化を捉えようと試みたので、ここに報告する。


【調査概要】


【結果と考察】
 平成2年及び平成12年の調査において、QOLの観点から比較した。
 基本的に、入所者の状況はあまり大きな変化はみられない。「生活での楽しみ」「余暇の過ごし方」については、 調査対象者が入所者であることから、かなり限定されたものとなっている。所後の進路では家庭復帰がもっとも多く なっている点では、変化がみられないが、療護施設、授産施設及び他の福祉施設への入所を考えている者はほとんどいなくなっている。
 一方、今回の調査で11名が自立生活を考えているという結果がでた。「自立」に対するイメージについては、 「全面介護を受けても精神的に自立し、主体的に生き甲斐のある生活ができること」と回答している者が増加しており、 「自立=ADLの自立」と考える者は減少している。今後、より自己選択・自己決定という考えが中心となってくると思われる。 そのため入所者のニーズを正確に把握し、彼らが自己選択・自己決定ができるようにサポートしていく必要があるであろう。 また施設のサービスも“質”の評価を問われており、今後更なる変化を求められる時期が来ているのではないだろうか。




前頁へ戻る 目次へ戻る 次頁を読む