社会生活技能訓練プロジェクトの実施について(ケース報告)

更生訓練所 指導部 指導課


藤田ゆかり


 更生訓練所入所者の状況において、職業訓練もしくは職能訓練以前の社会生活技能訓練の必要性が議論されてきているところであるが、 これまでは生活指導や訓練場面等において、個々に対応してきていたものである。今回、入所者の社会参加推進を目的に社会生活技能訓練プロジェクトが開始された。 このプロジェクトにおいて対応した一事例について報告する。



プロジェクトの概要

対象者
男性・19才
障害名
二分脊椎による対麻痺、膀胱直腸障害(1種2級)
問題点
@自己の健康管理、排尿管理不十分
 神経因性膀胱にて、腹圧排尿。常時尿失禁みられ、オムツを着用。
 入所前までは、一日4回のオムツ交換のみ実施していた。2/1から 自己導尿(指導)一日2回を開始。プロジェクト開始時点では、オムツ 使用と併せ、一日4回(7:30,11:00,18:30,21:15)の自己導尿を実施。
A褥創の自己管理不十分
 入所以来、左臀部に褥創があり、入所者診療室(平日毎朝)及び整形外来(週1回) にて処置するも、傷の状態が改善されない。創部の処置が自己にて行えない上に、失禁により、 傷にあてているガーゼが汚れたまま放置される状態が続いてしまうこともその一因と考えられた。
目  標
@自己導尿(一日6回)の定着
A難治性の褥創治療(手術)と自己管理定着
経  過
 5/16に第1回社会生活技能訓練プロジェクト策定委員会にてプロジェクト策定。 5/30に入院、5/31に左臀部筋肉内異物除去術施行、経過良好にて、7/3より褥創の自己チェック指導、 シーティングクリニックでの座位保持矯正指導及び、一日6回の自己導尿を開始し、ボイディングチャートに 基づいて飲水量の指導も加えた。8/29から職能訓練再開(半日)。9/8に退院し、 職能全日訓練開始。11/10からのスポーツ訓練開始により、平常訓練の体制に戻る。現在、褥創の自己管理と 自己導尿状況を確認しつつ、定着を図っているところである。



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