学院
病院 第二機能回復訓練部 |
森山晴之
小沢恵美 |
吃音の程度を評価し、訓練方策を立てるために、吃音検査法を作成し、
実際の臨床において初診時及び終了前に適用してきた。
この検査は、自由会話、課題場面、被刺激場面から構成されるが、
今回は、課題場面について、幼児、学童、成人の結果を分析し、
年齢層間の症状特徴を比較考察した。
対象吃音児者は幼児47名(2歳〜6歳 男24名、女23名)、学童55名
(男30名、女25名)成人20名(中学生以上 男12名、女8名)。
比較統制群として、非吃音児者を、性、年齢 を合わせて、略々同数とった。
検査課題は、絵刺激、文字刺激、絵・文字刺激なしの発話の三様式から
なり、各様式は単語、文、文章の三レベルによって構成されている。
発話された音声は、原則として、オ−デイオテ−プに収録された。
症状の分析はSTが聴取し、検査法の症状カテゴリ−に従って評価し分類した。
幼児、学童、成人の各群につき、一課題を選び、評価者間一致度を求めた。
吃音児者の非流暢性頻度は、幼児3.1〜157.7%(平均44.6%)、
学童8.7〜67.6%(平均28.5%)、成人6.1〜225.9%(平均47.8%)であった。
非吃音児者の非流暢性頻度は幼児0.0〜48.5%(平均29.2%)、学童8.7〜67.6%
(平均28.5%)、成人3.1〜16.6%(平均9.2%)であった。
吃音児者の非流暢性の種類(上位3位まで)は、幼児では、音節の繰り返し、
挿入、強勢、学童では、音節の繰り返し、挿入、阻止、成人では、阻止、挿入、
音節の繰り返しであった。これに対し、非吃音児者では、幼児:挿入、中止、
強勢、学童:挿入、間、とぎれ、成人:挿入、言い直し、中止であった。
吃音幼児の症状では、音節の繰り返しが目立ち、非吃音児と比べると、
繰り返し回数が多く、緊張性のあるものの比率が高かった。
吃音学童では、阻止が出現し、成人では、この阻止が最多であった。