研究所 感覚機能系障害研究部 聴覚言語障害研究室
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福田友美子
・乗富和子・赤堀仁美
赤堀美里・津山美奈子 |
【目的】
聴覚障害教育では、長期にわたって口話法教育が実施されてきたが、
聾社会の中では一貫して手話が用いられてきている。我々は、ここ数年
にわたって、20歳代の聾者の手話サンプルを中心的な対象にして、聾社
会で使われている日本手話の語彙・文法表現を研究してきた。そして、
日本手話の語彙・文法表現には、手指動作の他に、顔の表情や口形の
変化・頭の動きなどの非手指的表現が、複雑ではあるが体系的に多用
されることがわかった。その後、日本手話で通訳をしている通訳者などから
、高齢の聾者の手話表現は若い世代とはかなり違っていて読み取りが
非常に難しい点を指摘された。そこで、高齢の聾者の対話サンプルも
収集し、同様の研究を試み、高齢の聾者と若い聾者の間の手話表現の
違いを検討した。
【方法】
20歳台と50歳・60歳台の実際の聾者の長時間にわたる対話を研究対象
にして、まず、語彙レベルに発話を区切って語彙の種類とその使用頻度
を調べた。さらに、高頻度に使用される基本語彙について例文の分析を
行った。その結果、その表現には手指動作の他に、顔の表情や口形の
変化などの非手指的表現が、複雑ではあるが体系的に多用されることが
わかった。その過程で、20歳代と50歳代の聾者の手話表現を、語彙の使用
の仕方・顔の表情や頭の動きなどの非手指表現・CL表現などについて比較
し、その表現方法の違いを調べた。
【結果】