福祉用具心理評価スケール(PIADS日本語版)の開発2

研究所 福祉機器開発部
研究所 障害福祉研究部
研究所
Bloorview MacMillian Centre, Canada
University of Western Ontario, Canada
York University, Canada
井上剛伸・ 石濱裕規 ・数藤康雄
南雲直二
山内繁
横田恒一
Jeff Jutai
Hy Day

 我々は、福祉用具利用者における心理的効果を定量的に評価するため、 カナダのJutaiらが開発したPIADS(Psychosocial Impact of Assistive Devices Scale)の日本語版の作成を行ってきた。
 PIADSは福祉用具を使うことで利用者自身がどのように変化したかを 評価するスケールであり、26項目からなり、各項目は−3から+3までの 7段階のスケールで得点化される。
 今回、当センターに勤務する456名を対象とし、本スケールの信頼性 を評価するため、同じ調査を2ヶ月おいて2回実施した(テスト−リテスト法)。 カナダのグループと同じく、メガネとコンタクトレンズを対象用具とし、 メガネに関して因子分析を行い、妥当性を検討した。 各対象用具の回答者数はメガネ233名、コンタクト70名であった。

 信頼性
 2回とも回答した被験者の総得点データに関して、信頼性係数 としてPearsonの相関係数(総得点)を求めた所、メガネ0.685、コンタクト0.549であった。
 妥当性
 メガネに関する2回の調査に対する因子分析の結果、 各回ともそれぞれ4つの因子が抽出された。カナダのグループの結果では Competence(効力感)、Adaptability(積極的適応性)、Self-esteem( 自尊感)の3つの因子が抽出されていたが、今回の第一次調査の結果で見出された 3因子との比較では、最も寄与率の高い第一因子間の項目一致率(日/カナダ)は 58%であり、第二因子間の項目一致率は83%であった。しかし、カナダグループの 結果にみられた自尊感因子に相当するものは今回の結果では見出されなかった。

 テスト−リテスト法により本日本語版の信頼性はある程度確認されたが、 極めて高いものであるとはいえなかった。これは、質問項目、回答方式等様々 な問題が影響していると考えられる。また、日本語版調査で寄与率の高かった 因子ではカナダの結果との間にそれなりの項目一致率がみられたことから、 本日本語版はある程度の妥当性を有していると考えられる。




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