白内障手術患者の自己点眼を妨げる要素の一考察

病院 看護部


堀田祐子 ・青木佐和子・高野法子


【はじめに】
 5階病棟の平成10年度の眼科入院患者は157名で、内144名は白内障の手術を目的として入院している。 通常、当院での入院期間は、片眼の手術で6〜7日である。その為、短期間で環境に適応し、手術を迎えな ければならない。同時に、手術を受ける患者に欠かせない処置である点眼が開始される。点眼の目的は、術 後の感染を予防し順調に快復するためである。点眼は退院後も継続されるため、セルフケアとして必要であ る。私達は、未熟な点眼のために角膜を傷つけ、縫合不全を起こした症例を経験した。今回、確実な自己点 眼の自立を目指し、点眼の経験・年齢・改訂長谷川式間易スケール(以下HDS-R)等の患者情報と、点眼を行 う過程をチェックリストを用い確認した。そのデータをもとに自己点眼の自立を妨げる要素はないか検討した ので、ここに報告する。

【概要】
 調査期間 平成11年7月〜12月
 調査対象 上記期間の当病棟白内障手術患者42名
 データの収集方法
  @フェースシート(資料1)で患者の個人データを作成する。
  Aチェックリスト(資料2)の項目に沿って点眼を確認し、○か×をつける。
  B点眼確認時、手のふるえ・眼痛・頭痛などの体調不良の有無も見る。
  C「○」とは100%できていることを指し、口指で出来ていても×とする。

【結果】
 自己点眼を妨げる要因はフェースシートより、年齢とHDS-Rであった。70歳以下 の患者が自己点眼自立に要した平均点眼回数は3回、71〜80歳以下は5回、81歳以 上は9回であった。HDS-R20点以下の患者が自己点眼自立に要した平均点眼回数は16回、 21〜24点では8回、25点以上では3回であった。また、作成されたチェックリストの結果 によれば、自己点眼の自立を妨げる最大の要因は、「確実に目に滴下させることができな い」ことであり、次いで「点眼瓶を目につけてしまう」「点眼時間が守れない」という順 であることが明らかになった。

【おわりに】
 白内障手術患者が予定通りの経過で退院が迎えられ、退院後も継続して点眼が行えるため にも、自己点眼の自立は確実にする必要がある。
 今回は入院中という限られた期間で自己点眼の自立について確認した。今後は退院後も、 私達が入院中に指導したことが活かされているかについて調べ検討を加える必要がある。




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