更生訓練所 指導部 指導課
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小坂瑞穂
・菊入昭・中西勉
太田早苗 |
平成12年度理療教育課程に入所した視覚障害者を対象に意識調査を実施した。
そして、一部の結果については、過去データとの比較を行い、障害状況の推移や
環境の変化を調べた。また、新たに補装具である白杖の携行状況についても調べた。
【調査対象・調査方法】
対象者は、理療教育課程新入所者50名。調査方法は、質問紙を用いて個別面接
による読み上げを実施、口答回答(自由なコメントも含む)を面接者が記載した。
【調査結果・考察】
平成12年度新入所者の年齢層は中高年者が6割を占めている。疾患別に分けると、
網膜色素変性症29.3%、糖尿病網膜症22.4%、緑内障15.5%の順となり、過去データと
比較すると特に糖尿病網膜症の増加は著しく、ちなみに進行性の眼疾患を有する者は
7割であった。良い方の視力を取り上げ保有視力の状況を見ると弁別能がある手動弁
以上の者84%であり、全国調査でも指摘されているロービジョン者の増加傾向が見ら
れた。障害を自覚してから入所までの期間に関する調査では5年以下が全体の4割と
多い。生活訓練を受けている者は約6割である。理療教育課程入所の生活訓練経験者
は年々増加しており、視覚リハの流れに沿った生活訓練の次のステップとしている者
が多いことを示している。受障前に就業経験のある者は94.4%と多いが、職業に就く
ため相談に出向いた者は34.0%と少ない。三療を選ぶ時の心境は、「抵抗感を感じた」
と「興味があった」とが共に36.0%と多く、「何とも思わなかった」が24.0%であった。
晴眼者の進出により、視覚障害者にとって三療の国家資格の取得が難しくなっている
一方で、三療のイメージアップがはかられていることが伺える。
白杖については約7割が使用おり、それらのほとんどが生活訓練の経験者である。
彼らのうち白杖を常時使用している者は7割で、残りの3割は夜間の歩行や段差落差
の回避など部分的に使用している。白杖を使用している約6割が白杖を持っていて
不愉快な思いをしている。白杖を使用していない3割については視力的には0.1以上の
者が多い。約8割もの者が「杖がなくとも歩ける」としているものの、障害物にぶつ
かる、階段を踏み外す、老人を転倒させた等の経験者は5割いた。白杖については、
生活訓練経験者以外の者はおそらく使用法を知らないで使用しており、また生活訓練
の存在を知らない者も多数いた。福祉、医療機関等より障害者に対する情報提供が求め
られるであろう。