センターLAN整備後における理療教育部の取組み

更生訓練所 理療教育部


太田浩之


【はじめに】
 平成11年度予算により今年度初め、理療教育部に教官による教材作成機能を併せ持つ センターLAN端末としてのパーソナルコンピュータが導入された。双方の機能を活用すべく、 全盲、弱視、晴眼の職員が混在するわが部において、今年度取組んでいる研修体制、 これまでの成果及び今後の課題について報告する。

【具体的な取組みの内容】
 今年度において計画した研修内容は様々であり、現在までにほぼすべてを実施している。 特筆すべきは、「視覚障害者用基本操作の研修」時において全職員が一体となり取組めたこと である。これは、内容的に多岐にわたる5週に及ぶ講習を熱心に受けた全盲・弱視職員、 それを視力補助としてサポートした晴眼職員、パート職員の尽力の成果に他ならない。

【これまでの成果】
 視覚障害者専用ソフトにこだわらず、広く一般に普及している環境のもとで音声化・ 画面拡大ソフトを使用して業務に活用するという試みは、昨年度の検証作業通り、 技術的には既にほぼ問題なく、リハセンター内において必要な情報を共有し、効率的に 教材を作成するという意味において成功したといえるだろうし、また、この趣旨でおそらく わが国に類例のない規模として実現させることができたと思う。
 この理療教育部における一連の取組みは、視覚障害者の情報通信革命への参加と 来るべき21世紀における理療教育への充実への基盤を築くものになるはずである。

【今後の課題】
 部内の視点からは、現在のパソコンやネットワークの更なる活用及び入所者情報システム・ 図書検索システムの音声化対応による業務の効率化があり、現在のコンピュータ技術の視点 からは、@東洋医学関係の専門用語等、登録外字の音声化、AキーボードによるWindows操作 体系における統一性、一貫性の確保をあげたい。また、Windows普及の遅れている視覚障害者 とパソコン使用という視点からいえば、現在のパソコン環境は、視覚障害者の使用を困難に するのではなく、その利便性や多機能さが視覚障害者だけでは気がつかないことを多くさせて いるのである。視覚障害者への普及、そのユーザビリティの向上のために、視覚障害者の 立場でWindowsを理解・活用できる晴眼者による助言が重要な段階にあるといえるだろう。




前頁へ戻る 目次へ戻る 次頁を読む