スポーツ・手工芸を生かして地域で活躍

車いすマラソンで世界を駆ける
Cさん 30代男性 頸髄損傷(C6完全)による四肢麻痺

現在の状況

 車いすマラソン競技にアスリートとして取り組んでいます。最も障害の重いクラスのフルマラソンの日本記録保持者(06'サン・アントニオにて2時間30分32秒)です。自分の車にレーサーを乗せ、全国各地に出向いています。海外のレースへの参加経験もあり、最近もUAE(アラブ首長国連邦)で行われた陸上大会に参加してきたばかりです。
地域における活動では、福祉関係のイベントに招待され、小学生相手に車いす操作の指導や講演等も行うなど、積極的なつながりを持たれています。

センター在籍中の状況

 交通事故にて10代後半に受傷し、その8ヵ月後に入所されました。自分で車椅子を漕ぐことができず、摂食以外全介助の状態でした。その後ADL訓練が着実に進み、移乗動作獲得・入浴、排便動作獲得されました。スポーツにも熱心に取り組み、車椅子バスケットボール、車いすマラソンにはセンター在所中から取り組んでいます。特に車いすマラソンには在所中より大会に出場しています。

Cさんより

 センターでは、車いすマラソン大会に参加したことや、利用者・職員その他いろいろな方に出会えたことが印象に残っています。スポーツ訓練やマラソンを通じて体力が付いて、日常生活にも余裕が出来たことや、大分国際車いすマラソン大会に参加することを通じて、海外の同じクラスの選手と交流を持つことが出来たことが現在の生活に大きくつながっていると思います。
  終了後は在宅で生活をしており、自宅での生活は問題ありませんが、外出先での生活(トイレやシャワー等)が大変だったので、もう少し訓練しておけばよかったと思いました。
  センターは、職員の手を借りていろんなことに挑戦できる場でもあり、少しでも気になることがあれば積極的に挑戦することをお勧めします。

トールペイントを通して
Dさん 30代女性 頸髄損傷(C7)による四肢麻痺

現在の状況

 2児の母親業をこなしながら、NPO任意団体湯輪夢のトールペイント作家として活躍されています。センター終了後は団地を改修され生活をされていましたが、現在では御本人の動作を行いやすい環境を整えた新築にて、家事援助のサービスを受けながら家族4人の快適な生活をされています。作品作りは、1日に2時間半程度行っています。また、子供会・PTA活動では資料作りなどを行い積極的に地域で活躍されています。

センター在籍中の状況

 交通事故により20代後半に受傷し、その1年半後に入所されました。移乗動作獲得されつつある状態で、家庭復帰を目標にされていました。その後、ADL訓練が着実に進み、移乗動作獲得・排便、入浴動作獲得・家事、応用動作獲得・自動車関連動作獲得後、免許の条件書き換えをされました。
  職能訓練にてワープロコースではパソコンの操作から入りホームページの作成・様々な資料作りを行えるようになりました。トールペイントの存在をはじめて知り、描くことの楽しさを学びました。

Dさんより

 センターでは、文化祭行事で実行委員長になり、みんなで何かをするという貴重な体験が出来ました。また、外出しやすくよく仲間と出かけました。トールペイントは、難しかったけれど、はまったら休みの日も作品作りを行うほど楽しかった。職能訓練のパソコンにて資料作りやトールペイントの販売に役立てることが出来るようになり、生活の幅を広げることが出来るようになったことは貴重な体験だったと思います。
  現在、家庭の事情で自動車の運転を行えていないため、行動範囲は限られていますが、習熟を行い自動車を運転することで行動範囲をさらに広げたいと思います。  
  トールペイントの技術等は、不安があり常に連絡を取り合っている状態ですが、生活の幅は広がりました。皆さんも、機能回復だけ考えるのではなく、家に帰ってからどのように過ごすのか考えてください。自分は何も出来ないではなく、何が出来るのか考えてみてください。色々な体験をして、生活の質をあげるようにしてみてください。

さをり織を通じて
Eさん 50代男性 頸髄損傷(C7完全)による四肢麻痺

現在の状況

 NPO任意団体湯輪夢のさをり織の作家として活躍されています。地元や他県で作品展を開くなど作品作りに意欲的です。さをり織の作業時間は、体調を崩す前は4〜5時間でしたが、現在は2時間程度行っています。様々な材質の糸を見事に織り上げ個性的な作品を作られています。
  センターでは、環境を整え、全動作自立されて、本人用の高床式のトイレ・入浴場の設置された新築で家族と生活されています。その後、体調を崩され現在1回/週で訪問看護サービスを受けています。

センター在籍中の状況

 作業中の転落事故(労災)にて40後半に受傷し、その1年後に入所されました。移乗動作はほぼ獲得されている状態で、就職若しくは家庭復帰を目標にされていました。入所後、下肢の骨折で訓練は一時停滞しましたが、ADL訓練は進み、移乗動作獲得・排便、入浴動作獲得・自動車関連動作獲得後免許の条件書き換えをされました。
 職能訓練では、ワープロコースでパソコン操作の習得・手織りにてさをり織を習得されました。

Eさんより

 自分の状態を理解してくれる職員・仲間がいるセンターでの生活は、とても生活しやすかったと思います。別府という町や人は障害者に対して優しく外出しやすく、外に出て行くきっかけが出来ました。
  受傷前の仕事柄、ものづくりには興味があり、職能訓練でさをり織と出会えたことが、今の生活につながったと思います。
  終了後は、体調を崩し入院生活を経た後、排便の管理方法が変わったことで一部介助となりました。自己管理の大切さを実感しています。地元の街中には駐車場の関係で、自分で運転して出かけにくいことや、車いすでの移動は段差も多く見られ、車いす応用動作の習熟をしっかりしておけば良かったと思いました。
そのうちにやろうと思ったら、何も出来ないうちに時間が過ぎていくと思います。早いうちに少しでも自分のことは自分で出来る様になったほうが良いと思います。