中学校時期からみられる問題と対応方法

 中学校では教科担任制になるため、教員間のより強い共通理解と連携が求められます。本人の人間関係も先輩後輩や異性との関係など複雑になり、学習も高度な認知スキルが求められるものが増えていきます。通常の学級で教科の学習の遅れが顕著になってくる場合は特別支援学級への転級も考慮する必要もでてきます。このような場合も本人が納得して応じる必要があります。高校への進路は成績だけでなく、本人の希望と適性について考慮するとともに、通学方法や大学や専門学校への進学なども考慮に入れて決定するようにします。

 親子関係も思春期を迎え保護者や教師に対して反発や反抗的態度も目立つようになります。自立心を育てるために、ひとりでの交通機関の利用や小遣い管理など自己管理スキルを育てることが必要です。この時期の遊びは、ゲーム、インターネット、携帯サイトなどに広がりをもってきます。これに対しては時間的、年齢相応の制限を加えてけじめを教えることも必要です。

高等学校における発達障害への制度と対応方法

 普通高等学校、職業高等学校、高等専門学校(高専)、定時制高等学校、単位取得制の高等学校、特別支援学校高等部、高等特別支援学校などがあります。

 最近では、特別支援教育コーディネーターや支援部を設置する学校も増えてきました。しかし義務教育ではないため成績や出席の状態によっては原級留置(留年)や退学ということを迫られることも生じてきます。

 普通高等学校

 大学などの次の進学が前提となる場合が多く、受験勉強や受験指導が本人を過度に追い込むことのないように配慮されることが必要です。大学への進路決定は成績だけでなく、その後の職業適性も視野に入れておきます。また下宿か自宅通学かなどによって必要な生活スキルも変わってきます。学校、地域とも慣れていない状態で、下宿生活をはじめることは多くの困難を伴います。生活スキルの練習だけでなく親戚や家族の支援が得られる工夫も必要です。

 職業科や職業高等学校

 通常の教科だけでなく資格取得のためにさまざまな実習が必修になってきます。これは卒業への必須単位になっていることもあります。たとえば、他の教科は問題なく履修できても、溶接の授業で火花がでることが耐えられなくて卒業が困難になった事例もあります。これらの実習単位の内容については受験前に学校に問い合わせたり、調べておく方がよいでしょう。またコーディネーターと職業科の教師が連携して支援することも必要です。

 特別支援学校の高等部

 各学校や地域の教育委員会の方針によっては、療育手帳の有無や知能指数によって入学が制限される場合もあります。
 カリキュラムは就労を意識したものになり、ほかの学校に比較して支援の専門性は高いですが、高校から特別支援学校を選択する場合には本人への説明と同意を基本にしないと入学後に適応できなくなることもあります。