義足とは

事故や病気によって足の切断を余儀なくされた場合に、失われた機能を補うために作られ、使われる人工の足です。体重を支え、安定して立ったり座ったり歩行したりできるように、軽くて丈夫でなければなりません。

義足の分類

プラスチックや金属、皮革などの材料が用いられ、残存肢の長さや全身状態によって製作可能な義足が異なります。そのため義足の名称は、構造や切断部位、使用する目的など、分類する基準によって異なる呼び方があります。

切断部位による分類

構造による分類

義足はその構造の違いによって、骨格構造義足(こっかくこうぞうぎそく)と殻構造義足(かくこうぞうぎそく)に分けられます。

【骨格構造義足】

人体の骨格の構造と同様に、関節や骨を「継手(つぎて)」や「チューブ(パイプ)」などのパーツで構成し、外観はウレタンフォーム材などで造形する構造の義足です。

【殻構造義足】

甲殻類の体の構造と同様に、義足を形成する「殻」の構造が義足に働く力を支え、同時にこの殻の形がそのまま足の外観を表す構造の義足です。

骨格構造義足(吸着式大腿義足)
殻構造義足(吸着式大腿義足)

骨格構造義足の構成要素

大腿義足(骨格構造)
下腿義足(骨格構造)
【ソケット】

切断後の残された脚の部分である「断端(だんたん)」を、適切に収めて義足に力を伝えるための重要な部分です。切断部位や断端長、義足の使用目的に合わせてソケットの種類を選択します。

【支持部】

義足のソケットと継手、または継手同士の相互の距離を維持し、力を伝達する部分です。

【継手(つぎて)】

関節機能を代償するための部品で、股関節に相当する部品を「股(こ)継手」、膝関節に相当する部品を「膝(ひざ)継手」、足関節に相当する部品を「足(あし)継手」といいます。

【フォームカバー】

義足の外観を足の形に近づけるためにウレタンなどで足の形状を形作り、義足に被せるものです。

股義足用
大腿義足用
下腿義足用
【懸垂装置】

義足が身体から脱落することを防ぐために取り付けられる装置です。「シレジアバンド」や「PTBカフベルト」などがあります。

【足部(そくぶ)】

足関節から足先までの外観、機能を代償するもので、「単軸足部」、「多軸足部」、「SACH(サッチ)足部」などがあります。

切断部位による義足の種類

股義足
適応例:股離断
カナダ式
大腿義足
適応例:大腿切断
吸着式
ライナー式
ライナー式(ピン付きライナー使用)
差込式
膝義足
適応例:膝離断
差込式
下腿義足
適応例:下腿切断
TSB式
(図はライナーを使用した場合)
PTB式
KBM式
PTS式
差込式
果義足
適応例:足関節部切断
有窓式(ゆうそうしき)
足根中足義足
適応例:足根中足切断
足袋式(たびしき)