〔研究所情報〕
発達障害の理解のために
研究所 発達障害情報センター



 当発達障害情報センターは、平成20年10月1日、「国立身体障害者リハビリテーションセンター」が「国立障害者リハビリテーションセンター」へと名称変更・機能再編に伴い、厚生労働省より当リハビリテーションセンターへ移管となり、研究所の一部門として運営を開始いたしました。
 当情報センターの業務は、発達障害のある方本人・家族の方、発達障害について知りたい方、発達障害に関わる方(支援者)に対して、発達障害に関する信頼のおける情報をWEB等を通じてわかりやすく提供することです。提供するために必要な情報の収集、分析等も併せて行っています。
 一人でも多くの方に発達障害についての正しい理解が得られるよう、当情報センター職員一同努めて参ります。
 発達障害に関する情報は、下記のホームページにおいて提供しています。
 発達障害情報センターURL http://www.rehab.go.jp/ddis/

 

(写真)発達障害情報センター職員一同

 

 

発達障害の特性について


広汎性発達障害
 広汎性発達障害は、自閉症、アスペルガー障害のほか、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害を含む総称で、下記の3つの特徴が認められます。
①相互的な対人関係技能の障害
他人との関係を作ることが苦手です。相手との距離を認識できず、親しい人でも目を合わせなかったり、初対面の人になれなれしい態度をとってしまったりして、相手の人に驚かれることがあります。
②コミュニケーション能力の障害
他人に意志を伝えること・理解することが苦手です。やりとりが一方通行になったり、たとえ話(比喩)を理解できず、そのまま受け取ってしまったりして、困ってしまうことがあります。
③反復的で常同的な行動、興味、活動のパターン
変化に対応することが苦手です。同じ行動パターンや興味にこだわったり、場所、時間や道順を変更できないことや、ルール違反を極端に嫌ったりすることがあります。変化に対応できない時は混乱してしまって、パニックを起こしてしまうこともあります。


学習障害(LD)
 学習障害は、全般的な知的発達に遅れはないのに、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力を学んだり、行ったりすることに著しい困難がある状態をいいます。その主な例が下記の3つです。
①読字障害・特異的読字障害(音と文字の繋がりを理解することや文字の視覚認知に障害があり、読むのが極端に苦手です。)
②書字表出障害・特異的綴字(書字)能力障害(読字障害と重なっていることが多いのですが、視覚認知に障害があり、書くことが極端に苦手です。)
③算数障害・特異的算数障害(数字の認識や算数の基本となる概念を理解すること等が困難であるため、計算を行ったりすること等が極端に苦手です。)


注意欠陥多動性障害(ADHD)
 注意欠陥多動性障害は、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力及び衝動性、多動性を特徴とする障害です。この3つの症状は通常7歳以前に現れます。
①多動性(おしゃべりが止まらなかったり、待つことが苦手でうろうろしてしまったりすることがあります。)
②注意力散漫(うっかりして同じ間違いを繰り返してしまうことがあります。)
③衝動性(約束や決まり事を守れないことや、せっかちでいらいらしてしまうことがよくあります。)
一般的に多動や不注意といった様子が目立つのは学齢期ですが、思春期以降はこういった症状が目立たなくなるともいわれています。
(ここにあげたのは発達障害の人の特性の一例で、他にも様々なタイプの特性があります。また、上記の特性だけをもって発達障害と断定されるものではありません。)


その他の発達障害
 上の3つのタイプの他にも、トゥレット症候群のようにまばたき・顔しかめ・首振りのような運動性チック症状や、咳払い・鼻すすり・叫び声のような音声チックを主症状とするものも、発達障害の定義には含まれています。


様々なタイプを踏まえて
 これらのタイプうちどれにあたるのか、実際には障害の種類を明確に分けて診断することは大変難しいとされています。障害ごとの特徴が、それぞれ少しずつ重なり合っている場合も多いからです。また、年齢や環境により目立つ症状が違ってくるので、診断された時期により、診断名が異なることもあります。
 大事なことは、その人がどんなことができて、何が苦手なのか、どんな魅力があるのかといった「その人」に目を向けることです。そして、その人その人に合った支援があれば、だれもが自分らしく、生きていけるのです。