〔研究所情報〕
平成21年度研究所オープンハウス開催報告
 


 平成21年12月11日(金曜日)の10時から、当センター研究所において、オープンハウス[研究所一般公開]を開催しました。
 この研究所オープンハウスは、多くの方々に当研究所の取り組みと役割についてご理解いただくとともに、来場された方々からのいろいろなご意見を研究に反映することで、より良いリハビリテーションの推進につなげることを目的とし、本年で4回目の開催となりました。
 当日は、あいにくの悪天候にもかかわらず、昨年を上回る205名の方が来場され、研究所の各部が日頃進めている研究についてのパネル展示や開発・活用機器などの紹介を熱心に見学されていました。
 ご来場いただいた皆様からのご意見などをもとに、研究所では、より一層リハビリテーション支援技術、福祉機器の研究開発、社会システムに関する研究及び発達障害に関する情報提供に努めてまいります。
 以下、当日の各部の展示内容などを紹介します。なお、展示内容の詳細は以下のURLにてご覧いただくことができます。ぜひご参照ください。
 http://www.rehab.go.jp/ri/event/2009openhouse.html

運動機能系障害研究部


 運動機能系障害研究部では研究所1階の動作解析室を中心に展示を行い、来場された方々への説明を行いました。例年とは異なる試みとして、今年は部局の研究内容を紹介するビデオを作製し、これを実験室で上映しました。運動機能系障害研究部の活動を「新しいリハビリテーション;ニューロリハビリテーションに関する研究」と「日常生活を送る上で欠かせない、動作や姿勢に関する研究」の2つの枠で整理し研究内容の説明と実際の実験風景の映像を紹介しました。動画を見ていただくことで少しでも研究内容に対する具体的なイメージを持っていただくことができたのではないかと思います。


(写真1)運動機能系障害研究部(研究内容の紹介ビデオ上映)
運動機能系障害研究部(研究内容の紹介ビデオ上映)


感覚機能系障害研究部

 感覚機能系障害研究部では、「ブレイン-マシン・インターフェイス(BMI)を用いた環境制御システムの開発」、「脳を測るとわかる、ことばの発達」、「手話言語の電子辞書」の3つのテーマで展示を行いました。研究紹介のパネル展示に加えて、電子辞書活用の実演、BMIによる機器操作の様子をビデオ放映するなど、わかりやすい展示になるよう心がけました。障害者とそのご家族の方の来場も多く「脳波による家電制御や文字の入力を実際につかってみたいが、いつ頃実用化するのか?」「手話言語の電子辞書は、どこで入手できるのか?」といった質問もあり、切実な想いと期待を肌で感じました。


(写真2)感覚機能系障害研究部(展示会場の様子)
感覚機能系障害研究部(展示会場の様子)


福祉機器開発部

 福祉機器開発部では、「認知症のある人の福祉機器展示館」、「電動車いすシミュレータ」、 「6点入力式メモ装置」、「文字保存機能付き透明文字盤システム」、「携帯電話を利用した自発的行動の支援」、「座位保持装置の強度」の6つのテーマに関する展示を行いました。
 電動車いすシミュレータは、はじめて電動車いすに乗る人に対して、各種の入力装置の適合や操作練習に使用されています。オープンハウスでも、一部の参加者に実際にシミュレータを体験していただきました。
 また、認知症のある人の福祉機器展示館では、アラーム付き薬いれ、心理セラピー人形、探し物発見器など、国内外の認知症のある人の生活を支援する機器を展示しました。 展示館だけでも、75名の方が来場され、探し物発見器を見て、「自分にも必要だと」と話される方までおられました。


(写真3)福祉機器開発部(電動車いすシミュレータ)
福祉機器開発部(電動車いすシミュレータ)


障害工学研究部

 障害工学研究として、①網膜色素変性症の原因遺伝子探索、②生体インターフェース材料の開発研究、③認知障害者を支援するためのPDAソフトと携帯アプリケーション、④動力股義足の開発研究の展示を行いました。当日は残念ながら天候に恵まれませんでしたが、午前中から障害当事者、看護師、メーカー企業等、合計205名の方々が来場され、当事者や看護側からのご評価や一般の方からの熱心なご意見をいただきまました。実際に③の認知障害者支援携帯アプリケーションをダウンロードされる方もおられました。また、股義足研究に関して装具研究に展開するうえで、目から鱗が落ちるようなご意見をいただくこともでき、非常に意義のあるイベントでした。


(写真4)障害工学研究部(展示会場の様子)
障害工学研究部(展示会場の様子)


障害福祉研究部

 障害福祉研究部は、第2研究棟F105(実験室)にて、障害者が主体となる防災事業、マルチメディアDAISYなど7つの研究成果について、パネル展示とDAISYの実演を行いました。紹介した研究は幅広いものでしたが、障害のある方のご家族や、障害福祉に関連する分野の専門職者、研究職の方に加えて、エンジニア、病院職員、リハ専門職、視察の方々が見学に来られ、研究員の説明に熱心に耳を傾けていただきました。来場者にはホームページをご覧になって遠方から参加された方もおり、展示場面にてDAISYの開発状況や、地域のサポート状況に関して情報交換が行われ、来場された研究者との短時間の議論も行われました。制度的、質的研究を知っていただく良い機会となりました。


(写真5)障害福祉研究部(マルチメディアDAISY)
障害福祉研究部(マルチメディアDAISY)


補装具製作部

 今年度の補装具製作部は、「筋電義手の普及のために」と「より質の高い義肢装具へ向けて」と題して展示を行いました。
 「筋電義手の普及のために」では、模擬筋電義手を来場者ご自身の腕に装着し、その仕組みと使い方を理解していただきました。
 「より質の高い義肢装具へ向けて」では「ライナー用パッドの製作」「大腿義足歩行における交互昇段法の解析」「義肢装具の快適性に関する研究」の3題について紹介しました。
 また会場では、3名の義手・義足ユーザーの方々にご協力をいただき、義足の機能や義手の使い方についての説明がおこなわれました。実際に使用しているユーザーと直接話しをすることができたということで、来場された方々からご好評をいただききました。


(写真6)補装具製作部(義肢装具利用者による使い方の説明)
補装具製作部(義肢装具利用者による使い方の説明)

発達障害情報センター

 オープンハウス当日、発達障害情報センターの展示室には106名の方が来場されました。発達障害情報センターでは、展示企画として、パンフレットの配布、参考図書の展示、発達障害情報センターホームページの閲覧体験、発達障害関連のDVDの上映を行いました。最も人気のあった企画は、参考図書の展示であり、多くの方々が興味をもたれていました。今回は15冊の紹介でしたので、次回は参考図書の紹介の規模を拡大していこうと考えております。また、発達障害関連のDVDも多くの方に見ていただくことができました。2010年1月にはホームページもリニューアルされ、発達障害に関するコンテンツの拡充を図っていきます。来年度も多くの方に足を運んで頂けるよう、企画を充実させていきます。
URL http://www.rehab.go.jp/ddis/


(写真7)発達障害情報センター(展示会場の様子)
発達障害情報センター(展示会場の様子)