「自立」すなわち、自らが望むことを自分の意思で実現できることは、生きる上での大きな力になります。認知症のある人は、その症状のために、日常生活の自立が困難になりがちです。しかし、その原因を見極め、適切な環境や機器、ケアを整えることができれば、認知症のある人も手がかりや助力をもとに、自らの判断で取るべき行動をとることが可能になります。また、認知症のある人が主体的に生きられるようになることは、「家族」が介護者と被介護者という供与・依存関係ではなく、互いに理解し、助け合って暮らす親子や夫婦という本来の姿で暮らせるようになることにもつながります。 今回のシンポジウムでは、「主体的な暮らしの実現」に、行政職、作業療法士、当事者、ソーシャルワーカー、家族、研究者という異なる立場から取り組む6名のシンポジストを迎え、みなさんと一緒に、「自立と家族を支えるためにできること」を考えたいと思います。