支援機器について一定の品質が確保され、安全に提供される仕組みは十分であろうか。 医療機器との関係も整理しつつ、規格や基準について検討する必要がある。 |
支援機器の中には重症化予防、機能回復などの医療的側面が強いものもあるが、医療機器に該当しない支援機器については、薬事法は適用されないことから、機器の認証システムが不十分と考えられる。医療機器との関係も整理しつつ、一定水準を確保するための安全基準の策定が必要である。 | ||
・ | 国際基準等との整合性:ISO(国際)、CEN(欧州)、ANSI、FDA(米国)の規格基準等 | |
・ | 支援機器安全基準の整備(臨床評価手法の確立)など | |
電動車いす等による死亡事故事例もあり、利用者側に立った安全基準が必要 | ||
・ | 義肢装具パーツ等の医療機器認証についての検討 | |
仮に、薬事法上の位置づけをした場合、企業としての一定の規模が要求されるため、中小規模が多い義肢装具パーツ製造企業等が耐えられるか等の検討も必要。 | ||
・ | 品質確保のためには、「評価基準」と「認証制度」が必要 | |
障害者用支援機器の認証制度を確立するためには、認証のための仕組みや専門機関が必要。一部(義肢装具等のパーツの認証)については、国立障害者リハビリテーションセンター研究所の協力を得て、厚生労働省として行っているところであるが、専門の認証機関ではないことから事務負担も大きく、今後の検討課題である。 認証制度を設けることで安全が担保できる反面、テストをクリアするためのコストがかかることには留意が必要。 | ||
・ | 耐用年数決定のルール策定 |
支援機器の品質を確保するための方策とともに、アフターケアやメンテナンスなど、継続的なフォローアップの仕組みが必要である。
支援機器の修理やメンテナンスに必要な部品等の一定期間の保管、ネジ等の小部品の規格統一化等の効率的な流通上の管理など、将来に向けた業界としての取組みも期待されるところである。
また、事故等が発生した場合に、すみやかに必要な対応が可能となるよう、製品のトレーサビリティ(追跡可能性)の確保についても考慮すべきである。
(「第8回勉強会資料(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 福祉機器開発部長 井上 剛伸 氏)」より)
○安全基準・・・(ISO/IEC ガイド51・JIS Z8051“安全側面−規格への導入指針”)
安全:受容できないリスクがないこと
リスク:危害の発生確率及びその危害の程度の組み合わせ
※「消費生活用製品安全法」が改正され、製品事故情報の報告・公表制度が開始された。
対象製品には電動ベッドや電動車いすも含まれており、これまで死亡事故の公表が行われ、メーカーの自主回収や改善等につながっている。支援機器の重大事故に対する処置として、法に基づき公表等が行われることとなったことは利用者にとっても望ましいことである。
○福祉機器の国際標準(機械要因)国際規格:ISO(国際標準化機構)/IEC(国際電気標準会議)
・ 欧州規格:CEN(欧州標準化委員会)/CENELEC(欧州電気標準化委員会)
・ 各国工業規格:JIS(日本),DIN(ドイツ),ANSI/RESNA(アメリカ),他
・ 各国では支給するにあたって、工業規格にプラスした形で基準を設けている
(スウェーデンでは障害研究所が試験評価し、合格したものを支給リストへ掲載)
○支給制度と安全基準の考え方ISO,JIS等の工業規格は第1段階の基準として考えられる
・ 支給する立場からは、利用者の個別性や障害を十分考慮した安全基準が必要
・ JISとの協調か独自基準の策定か意見のあるところ
・ 工業規格にプラスする形で、臨床評価及び個別適合評価等の検討が必要
※ 国際標準やJIS規格、安全対策等については、経済産業省をはじめとした関係府省庁との連携が重要となる。