手話通訳士をめざす

手話通訳士をめざしてみませんか?

通訳者には確かな理解力と豊かな表現力、幅広い知識と深い洞察力が求められます。人と人の間に立つことの難しさもあります。でも、だからこそ、通訳という仕事は魅力的! あなたもろう者の言語「手話」を学んで手話通訳士をめざしてみませんか?

手話は外国語と同じ。学ぶなら本格的に!

ろう者の言語「手話」は日本語とは異なる一つの言語。いわば外国語と同じです。一つの言語を学ぶのに、週に1回、2時間程度の学習では限界があることは想像がつきます。手話も同じです。理想的な環境のもとで、2年間みっちり取り組んでみませんか?

手話ができることと、手話通訳ができることは違います!

英語が話せても、それで日本語と英語の間の通訳ができるわけではありません。手話も同じです。手話ができることは通訳ができることの必要条件ではあっても、十分条件ではありません。通訳ができるようになるためには、特別なトレーニングが必要です。

手話通訳学科で学んでみませんか?

国立障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科は、埼玉県所沢市にある2年課程の専修学校です。入学資格は大学入学資格があることと、20歳以上であること。定員は30名。入学試験は、11月に先行入試、1月に一般入試が行われます(定員に満たない場合はさらに3月に二次募集があります)。

手話を習得する

ろう者から手話で手話を学ぶ

外国語の教育においては、十分に訓練されたネイティブの先生のもとで、実際にその外国語を使ってコミュニケーションをしながら学ぶ方法が有効であることが知られています。そこで、当学科でも、手話の習得にあたっては、直接教授法(入門段階ではナチュラル・アプローチ、応用段階ではコミュニカティブ・アプローチ)を採用し、専門的な知識と技能をもったネイティブのろう者が教育を担当しています。

ネイティブのろう者から手話で手話を学ぶ

手話で教科を学ぶ

外国語の学習とは不思議なもので、「その言語を学ぼうとする」よりも、「その言語で何かをする、何かを学ぶ」時のほうが、その言語がよく身につく、ということが知られています。当学科では、応用的な理論科目の中でろう者の専門家がいる分野については、できるだけろう者から手話で学ぶ、という方針を掲げています(そのようなプログラムを「イマージョン・プログラム」と呼びます。たとえば、「法学概論」なら、ろうの弁護士から手話で学ぶ、といったやり方です)。

まるで「留学」しているような環境

ある外国語を身につけたいと思ったら、教室の中だけでなく、その外国語が実際に話されている地域に赴き、そこで実際に暮らしてみることが上達の近道であることは疑いようもありません。当学科では、2名の手話ネイティブのろう者の専任教官のほか、10名程度のネイティブの非常勤講師が週1~2回の授業を担当しており、常に数人のネイティブのろう者がフロアに滞在し、スタッフも学生も手話だけで会話をしています。手話通訳学科があるフロアはまさに小さな「ろう者の国」、学生はその国に「留学」しているのです。

個別学習室

豊富な視覚教材にいつでもアクセス

音声言語の外国語学習では、ネイティブ話者の談話が収録された良質なリスニング教材が、学生の語学力向上のためには欠かせません。手話は「目で見る言語」ですから、手話の談話はすべて視覚教材(動画)の形をとることになります。当学科では、豊富な動画をすべて電子化してサーバーやクラウドに蓄積し、個別学習室のデスクトップPCからだけでなく、無線LANを通じてフロアのどこからでもアクセスできるようになっています。

通訳技術を身につける

翻訳から通訳へ、L2→L1からL1→L2へ

通訳のトレーニングに先だって、日本語と手話の構造の違いが翻訳にどのような影響を与えるかを徹底的に学び、翻訳技術を磨きます。通訳トレーニングはまず手話(第二言語:L2)から学生の母語である日本語(第一言語:L1)への通訳から始まり、徐々に日本語(L1)から手話(L2)への通訳に進みます。これは、第二言語の能力は理解力が比較的早く獲得されるのに対し、表現力の向上には時間がかかるためです。

少人数制クラスで豊富な練習量を確保

通訳のトレーニングでは、どれだけ豊富な練習量を確保できるかが重要です。そこで当学科では1学年を3グループに分けた少人数制グループ指導を採用。一人ひとりが実際に通訳する機会を可能な限り増やすよう努めています。

さまざまな場面を想定した模擬通訳

通訳の仕事は単に二つの言語の間の変換をすることだけではありません。その場でおこるさまざまなことに対して適切に対応することが重要です。そのため、当学科では、さまざまな場面を想定した模擬通訳に多くの時間を割いています。おもな模擬通訳場面には、病院での診察、会議、裁判、大学講義、各種教室、保護者会、冠婚葬祭、買い物、交渉事、相談、見学ツアー同行などがあります。

通訳基礎トレーニング

通訳技術を支える基礎的な能力として、身体表現能力、論理的理解能力、日本語や時事問題に関する知識、日本語表現技術(パブリックスピーキング)、複数作業同時遂行能力などについても、その向上を図ります。各種検定試験も活用しており、日本語検定やニュース時事能力検定については準会場の指定を受けて全員が受検し、各自の課題を分析して自主的・継続的な学習につなげていきます。

個別学習室の書棚

現場を体験する

体育祭

機会をとらえて実践

当学院の特色として、国立障害者リハビリテーションセンターという大きな施設の一組織であるということがあげられます。センター行事として、並木祭(文化祭)、体育祭、防災訓練などがあり、各組織の理解を得て、聴覚障害利用者に対する手話通訳を学生の実践の場とさせていただいています。

ろう者の全国規模の大会に要員として参加

各種施設での実習(2年生夏5日間、冬15日間)に加えて、「交流実習」という名称で、ろう者の全国規模の大会(基本的には1年生は「全国ろうあ女性集会」、2年生は「全国ろうあ高齢者大会・全国ろうあ高齢者ゲートボール大会・全国ろうあ高齢者グラウンド・ゴルフ大会」)に要員として参加させていただき、多くのことを学ばせていただいています。

交流実習

手話通訳に関する資格試験

手話通訳士試験

手話通訳士試験(手話通訳技能認定試験)は学生が各自で手続きをして受験します(当学科を卒業することで自動的に与えられる資格ではありません。また、当学科に入学しなくても、20歳以上であれば、手話通訳士試験を受験することができます)。当学科のカリキュラムとしては、1年生前期に筆記試験対策、2年生の試験直前に実技試験対策を行います。また、再受験する卒業生に対して独自作成模擬問題の提供を行います。

手話通訳者全国統一試験

全国の各地域で実施される手話通訳者全国統一試験についても、学生が各自で就職希望地や卒業後の生活予定地に手続きをして受験します。大半の地域では、当学科のような手話通訳養成機関の卒業生(卒業見込者含む)にも受験資格が与えられていますが、一部地域では受験資格を得るための講座受講が義務づけられている場合があります。受験の可否については、各地域の実施団体にお問い合わせ下さい。

卒業後の進路

専門職としての手話通訳

手話通訳は長い間その専門性が認められず、ボランティアの延長線上でとらえられる傾向が強くありましたが、社会における理解が進み、就職先が多様化するとともに、正規職員としての採用も増えてきています。おもな就職先としては、地方公共団体、社会福祉協議会、聴覚障害者情報提供施設、ろうあ老人ホーム、重複障害者施設、ろう者団体、障害者団体、関連団体のほか、ろう者を多数採用する企業や、ろう者にサービスを提供する企業、ろう学校(特別支援学校)、高等教育機関の障害学生支援室などがあります。最近は手話言語条例を制定する自治体も増えており、今後は地方公共団体による採用が増加するものと見込まれます。

卒業生の就職先一覧

【公的機関・事業所】▼県庁・県社協(山梨、長野)▼市役所・市社協(天童(山形)、桐生(群馬)、川越、所沢、東松山、狭山、越谷、蕨、朝霞、新座、桶川、ふじみ野(埼玉)、市川(千葉)、立川、武蔵村山(東京)、燕(新潟)、金沢、白山(石川)、安曇野(長野)、豊橋(愛知)、舞鶴(京都)、守口(大阪)、松山(愛媛)、鹿児島、那覇)▼情報提供施設(聴力障害者情報文化センター、青森、山形、宮城、群馬、石川、長野、静岡、兵庫、岡山、福岡、熊本、札幌、横浜、川崎、名古屋、京都)▼東京手話通訳等派遣センター ▼東京盲ろう者支援センター ▼国立職業リハビリテーションセンター、東京障害者職業能力開発校 ▼NHK報道局手話ニュース

【病院】東邦大学医療センター大森病院

【民間企業】 アウトソーシングビジネスサービス、アクサ生命、アステム、ウィングル、H.I.S.、NTTクラルティ、NTTドコモ、資生堂アステック、ジブラルタ生命、ソフトバンク、博報堂DYアイオー、日立国際ビジネス、フジテック、プラスヴォイス、マツダ、三井物産ビジネスパートナーズ、良品計画、リコー・ヒューマン・クリエイツ

【施設・団体】 ▼きらきら(群馬)、ななふく苑、ふれあいの里・どんぐり(埼玉)、金町学園、かがやき(東京)、手楽来家(てらこや)(新潟)、つくし(名古屋)、あすくの里(大阪)、淡路ふくろうの郷(兵庫)、アイラブ作業所(広島) ▼日本障害者リハビリテーション協会、全日本ろうあ連盟、全国盲ろう者協会 ▼各地のろう者団体(仙台、静岡、愛知、福岡)

【大学障害学生支援室等】 宮城教育大学、群馬大学、東京大学、早稲田大学、立教大学

【ろう学校】 札幌、坂戸、大塚、江東、立川、明晴学園

※非常勤・嘱託・契約社員としての採用を含む。また、すでに退職したものが含まれている場合もあります。

卒業生の活躍

「卒業生の活躍」のページで詳しく紹介しています。

詳細はこちら

また、過去の国リハニュースで紹介された卒業生の活躍の様子については、以下のリンクからご覧いただけます。

手話通訳学科の沿革

1990.4 国内初の手話通訳養成機関として手話通訳専門職員養成課程を設置。1年課程、定員10名。
1998.12 9期生の年度途中に現在の新学院棟に移転。
1999.4 手話通訳学科に改称。
2001.4 12期生から2年課程、定員15名に。
2003.4 14期生から定員30名に。
2015.11 先行入試(社会人枠)開始。
2016(現在) 4月に27期生が入学。卒業生累計348名。